お仕事の関係で読む本が増えてくると、自分が本当に読みたい本ってなんだろうと分からなくなる。小説家になる前は好きな本ばかり読んでいて、自然な関心がわき、途切れることなく読みたい本が出てきた。今は自分の中の衝動からではなく、外部からの発注で読み始めることが多い。昔よりだいぶ受け身になったなと思いつつ、これホンマ読んでよかったわと心から思える本も多く、本との出会いにもご縁ってあるんだな、とシミジミ。『まど・みちお詩集』もそのうちの一つで、肩肘をはって暮らす私が見逃していた、物言わぬ小さい物たちの抱える感動を、やさしい言葉で伝えていて、心がほぐされて泣きそうになった。子どものころ何気なく口ずさんでいた「ぞうさん」の歌の歌詞が、こんなにおおらかな響きを持っていたなんてと、歌無しの字だけで読んで初めて気づいた。
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source : 文藝春秋 2022年5月号