行動経済学を創始したダニエル・カーネマンは、市場参加者の判断・行動に一定の歪みがあることをさまざまな独創的な実験で示し、「合理的経済人」の前提を覆したことで、心理学者としてはじめてノーベル経済学賞を受賞した。
『NOISE』ではそのカーネマンらが、合理性を蝕む要因として、バイアスよりもさらに大きな「ノイズ」の存在を論じる。ノイズは判断のばらつきのことで、仮にすべてのバイアスをなくしたとしても、昼食の前か後かのようなちょっとしたちがいで、同じケースに異なる決定が下される。ノイズをなくすには、AIに判断を任せるのが最善だという。
なぜバイアスやノイズがあるかというと、人類が進化の大半を過ごした旧石器時代に、限られた認知能力でもきびしい環境に適応できるように脳が「設計」されたからだ。『なぜ心はこんなに脆いのか』では、進化医学の第一人者が、石器時代に最適化された脳=心のままでアスファルトジャングルを生きざるを得ない現代人が、うつ病のような精神疾患に苦しむ理由を説明する。
近年の脳科学の驚異的な発展が、睡眠や夢に新たな光を当てつつある。『夢を見るとき脳は』では、第一線の研究者が、睡眠が身体的・精神的な健康に重要なだけでなく、わたしたちは眠ることで学習し、創造的になるのだと語る。時間を効率的に使おうと予定を詰め込むより、ぼーっとした時間がある方が生産性は上がるらしい。
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source : 文藝春秋 2022年4月号