キリンの種類

数字の科学

佐藤 健太郎 サイエンスライター
ライフ 読書
サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。

キリンの種類=4種

「今はもうブロントサウルスという種はない」と聞いて驚いたのは、何年前のことだっただろうか。ブロントサウルスといえば、筆者の子供の頃には恐竜の代表選手的な存在で、どの図鑑にもその姿が描かれていた。だが研究の結果、ブロントサウルスはアパトサウルスという恐竜と同一の種であったとして、その種名が消し去られてしまったのだ。

 ところが最近になり、ブロントサウルスはいつの間にか復活していたらしい。詳しく骨格の特徴を調べ直したところ、アパトサウルスとはやはり別物だとして、ブロントサウルスの種名がよみがえったのだ。なんともややこしい話である。

 もう一つの有名恐竜であるティラノサウルスにも、その分類に疑問が持ち上がっている。化石を詳しく調査した結果、ティラノサウルスの骨格は3種類に分類でき、それぞれ違う種だとする論文が発表されたのだ。この研究者は、これまでのティラノサウルス・レックス(王)に加え、ティラノサウルス・レジーナ(女王)及びインペラトル(皇帝)の名を提案している。とはいえこの分類に反対する者も多く、女王と皇帝が今後も生き残るかどうかはまだ定かではない。

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source : 文藝春秋 2022年5月号

genre : ライフ 読書