世紀を越えた美意識と機能、そして“物語”を併せ持つ「百年時計」。今回はスポーツウォッチをテーマに、その本質を伝える11本を選び抜いた。
写真=長山一樹(S-14)、スタイリスト=石川英治(tablerockstudio)
LUXURY SPORTS WATCH
“ラグジュアリースポーツ” という概念は時代を超越するか?
![画像1](https://bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/0/9/1600wm/img_092970d6f0d038274f150df2724da11f153130.jpg)
Grand Seiko(グランドセイコー)
ゼンマイを動力源にしつつクオーツなみの精度を誇る、セイコー独自の機構「スプリングドライブ」を採用したGMT付きクロノグラフ。8本の針を備えた本格的な機能と操作感が魅力だが、端正な美しさは健在。美しく磨き上げられたベゼルやシャンパンのように黄味がかった文字盤が、実に上品だ。スプリングドライブ、ステンレススティール、ケース径43.5㎜。SBGC201 ¥946,000(セイコーウオッチお客様相談室☎0120-061-012)
上質なスポーツテイストは TPOなき時代の新定番
近年、スポーティなデザインとラグジュアリーな外装を兼ね備えた時計、「ラグジュアリースポーツウォッチ」の人気ぶりが凄まじい。
一般的には“ラグスポ”と呼ばれるこの概念が生まれたのは、ちょうど半世紀前、1972年のこと。オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」を皮切りに、それまで実用品としてのみ扱われていたステンレススティール素材に、金無垢にも負けない高級感を持たせた時計が続々登場。近年のブームを受けて、その傾向は年々強まっている。現在の人気こそ少々過熱気味とも言えるが、カジュアル化が進む私たちのファッションやライフスタイルと連動した潮流でもある。自動車において高級SUVが支持されているのと同じく、今やシーンを選ばないこれらの時計は、新しい定番。次なる50年も、その価値を喪うことはないだろう。
![画像2](https://bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/1600wm/img_cd5a0e41bf87a5ad1375fc3071a7ba0c243221.jpg)
Gérald Genta
1931~2011年。20世紀半ばから時計デザイナーの先駆けとして活躍した、ジェラルド・ジェンタ。1972年の「ロイヤル オーク」を皮切りに、のちにラグジュアリースポーツウォッチと呼ばれる名品を次々とデザインする
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source : 文藝春秋 2022年7月号