アイウエアとは、あなたの印象を洋服よりも先に伝える、いわば象徴的存在。その選びに妥協は禁物だ。そこで今回は、眼鏡やサングラスを自身の“象徴(アイコン)”にしたセレブリティと、彼らが愛した名品を紹介しよう。
写真=川田有二、スタイリスト=石川英治(tablerockstudio)
Persol(ペルソール_スティーブ・マックイーン)
イタリアの老舗アイウエアブランド、ペルソールの特徴は、紫外線から目を保護する機能的なレンズと、蝶番に施された銀のアロー(矢)だ。なかでも名作と名高いのが、独自の曲がるテンプルにより、快適なかけ心地を実現した「PO649A」。こだわりの名優スティーブ・マックイーンは、こちらを折り畳み仕様にしたモデルを公私ともに愛用していた。¥27,280(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス☎0120-990-307)©Shutterstock/AFLO
こだわりのアイウエアは あなたの “象徴”になる
Ray-Ban(レイバン_ジョー・バイデン_トム・クルーズ)
アメリカのボシュロム社が創設したレイバンは、1920年代からパイロット用サングラスの開発に乗り出し、1937年に史上初めてティアドロップ型の「アビエーター」モデルを発表。アメリカ空軍に採用されると、その国威を背景に同国を象徴するファッションアイテムになった。人間の目の動きを完全にカバーする広い視野が、そのフォルムの所以だ。¥23,980(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス☎0120-990-307)
サングラスに秘められた 高度なイメージ戦略
アイウエアとは、最も効果的なイメージ戦略のひとつである。現代において、その能力を身をもって証明しているのが、アメリカ第46代大統領のジョー・バイデンだろう。彼は空軍パイロットのためにつくられたレイバンのアビエーターサングラスを、スーツに合わせるなどシーンを問わずに使用。常に高齢であることを取り沙汰される彼は、このサングラスがアメリカ国民に与えるクラシックさ、前向きな若々しさ、男らしさといったイメージを借り、懸念を払拭しているのだ。
インテリ映画監督の神経質そうな黒縁眼鏡然り、カリスマ経営者のリムのない丸眼鏡然り、アイウエアにはかける側の“自分はこう見られたい”という意思が秘められている。主張が足りないと言われるわが国のクリエイターやエグゼクティブにも、そんな巧みなイメージ戦略を期待したい。
©Sunset Boulevard/Getty
レイバンの「アビエーター」は、ダグラス・マッカーサー元帥からジョー・バイデン大統領まで、多くの軍人や政治家に選ばれてきた。日本では1986年公開の映画『トップガン』を契機に、若者たちの間でヒットを果たす ©Kevin Dietsch/Getty
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source : 文藝春秋 2022年8月号