【前編のあらすじ】
ときは江戸の中ごろ。薬種問屋の隠居の子、藤介は、八丁堀に程近いところへ父が建てた長屋の見回りで、日日を過ごしている。引き籠っている店子の久瀬棠庵が死んでないかと見に来たところ、三月ばかり前に祖父の善兵衛と越してきたお初が、長屋から出て来て、云った。「善兵衛を殺してしまいました」
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source : 文藝春秋 2022年9月号