文藝春秋は6月21日(火)、「メタバース」が描き出す、ビジネスの新世界をテーマにカンファレンスを開催した。本カンファレンスは、新たなデジタル覇権争いの中で、一過性のものに終わるのか新たな市場を構築できるのか、その動向に注目が集まる、「メタバース」と「NFT」に特化したもの。
メタバース、NFTのビジネス活用の可能性について、ゲームチェンジャーの視点やイノベーターの視点、プロフェッショナルの視点など多様な視点から考察がなされた。
■ビジネスサーベイ・インサイト
最新サーベイから見えてきた、メタバース、NFTの可能性とビジネス活用の現在地
〇長嶋 孝之氏 (PwCコンサルティング合同会社 ディレクター)
メタバースとは、Meta(超越、超)とUniverse(宇宙)を組み合わせた造語で、現代においては、インターネットを通じてアクセスする3次元の仮想空間サービスや仮想空間そのものを指すことが多い。冒頭、長嶋氏はメタバースの概念を説明。ビジネスおよびNFT※の活用が加速し企業が続々と参入している理由として、コロナ禍によるオンラインでのコミュニケーションの促進/5Gを始めとする通信技術の向上/安価なヘッドセットの登場/空間設計技術の向上/デジタル技術の管理技術(NFT)の向上/仮想通貨利用の拡大などを挙げた。
※NFT=Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)。非代替性トークン。詳細は「NFTセッション」参照
PwCコンサルティングの調査(以下のデータすべて)によると、メタバースの認知率は47%、自社ビジネスでの活用に関心がある企業は10%。企業の87%がメタバースのビジネスの影響についてチャンスと捉えている。メタバースの活用を推進もしくは検討している会社は38%で、うち49%が1年以内に実行を予定している。
顧客接点領域においては、メタバースによって変化が生じる顧客ニーズを捉え、現実世界やウェブ・アプリを含めた総合的な顧客体験設計を検討することが肝要である。また、顧客体験に縛られることなく、バリューチェーン全体での活用を検討することで勝ち筋を見いだすことができる可能性もある。その一方で、メタバースのビジネス活用のイメージが明確になってない/導入する目的の明確化/人材の育成/費用対効果の説明などの課題と改善を求める声が多いと指摘した。
次に、NFTについては認知率は26%、自社ビジネスへの活用に関心を持っている企業は10%に止まっている。とはいえNFTをビジネスチャンスであると捉えている企業は82%。活用を推進もしくは検討している企業は32%で、うち1年以下の実行を予定している企業は52%だった。NFT案件を進行中もしくは予算化済みであると答えた企業の76%が、既にメタバース案件を進行中で、デジタル資産が存在するメタバース世界の構築と併せてNFTビジネスを展開している企業が多い。このようにメタバースとNFTは相関関係が強い。
メタバースおよびNFTのビジネス活用に関して日本企業に求められるアクションとは、
今すぐ小さく始める
黎明記にあるメタバースやNFTが今後どのように成長していくのか、その未来シナリオを正確に予測することは難しい。こうした不確定要素が多い状況下では、リーンスタートアップ的アプローチで、トライ&エラーを繰り返しながら、競合よりも早く知見を蓄積している必要がある。
経営者自ら体験する
新しい概念を理解する最も効果的な方法は、体験すること。特に経営者が自ら体験して、利用者のニーズや、メタバースやNFTの可能性を肌で感じることは、有望な事業領域を識別する上で有益である。
俯瞰的に検討する
バリューチェーン下流にあたる顧客接点領域だけでなく、企画、調達、製造などバリューチェーン上流での利用シナリオや、バリューチェーンそのものの変革の可能性にも目を向けることで、投資対効果を高められる可能性がある。
創造的に破壊する
メタバースやNFTがもたらす事業脅威に備える必要がある。メタバースやNFTによって既存事業の提供価値が代替される、あるいは消失する可能性があるのであれば、業界内外から迫り来る競合よりも先に、自らの手で既存事業を破壊し、新たな事業へシフトする方法を模索する必要がある。
共に創る
メタバースやNFTのすぐ先の未来には、「Web3.0」のような世界観が語られ始めている。巨大プラットフォーマーがイノベーションを牽引し、利益を独占するような構造から、利用者、行政、研究機関、業界内外の他企業、投資家、ボランティアなどを巻き込んだオープンイノベーションモデルへの移行が起きる可能性を考慮し、“共創アプローチ”を検討する必要がある。
以上の5つが重要であるとまとめの提言をして、講演を終えた。
■スペシャルインサイト(講演&対談)
NFT、メタバースは、人類の未来、ビジネスの未来に何をもたらすのか?
〇スプツニ子!氏 (アーティスト 東京藝術大学デザイン科准教授・写真左)
〇田中 裕子氏 (PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー・写真右)
「Web3」の話題から対談は始まった。次世代の“分散化インターネット”であるWeb3。READ(読む)のみであったWeb1、READ/WRITE(読み書き)のWeb2を経て、仮想通貨やNFTが利用するプラットフォームに組み込まれたインターネットがWeb3であり、ユーザーがインターネット上=オンライン空間で“所有”をすることができるようになった。
例えばアート作品の売買が展示会などのリアルの場だけでなくなり、デジタルながら永遠性を持ちコンテンツそのものに“価値付け”をすることができるようになった。クリエイターの表現形態・方法やカルチャーの幅が拡がる。Web3においては、新しいテクノロジーを基盤とした新しい経済圏ができる。個人情報を自己管理できるブラウザ「Brave」、P2Pネットワークを活用しデータそのものを(1つのサーバーだけでなく)分散管理するサービス「IPFS」などが登場し、インスタグラムも5月に試験的なNFT機能を導入した。
分散化、透明性(検証可能性)、所有権、インセンティブなどにWeb3は大きなインパクトを与える。暗号資産、NFT、メタバースと密接に関係するデジタルコンテンツに“希少性、限定性”という力が与えられる。「好きなものを仲間達とみんなで共有する」時代が来た。Z世代の下のα世代、10代のアーティストも出てきている。
メタバースは、インターネット上の“次なる開拓地”だ。仮想空間上の3次元世界であり、人々がやりとりする情報、インターフェイス、空間を統合する。トレンドとして、交流の場やビジネスの場として、仮想空間のプラットフォームを提供する開拓地が増えるだろう。一定量の仮想の土地からなる仮想世界「Decentraland」「Sandbox」、ゲーム中心のメタバース「Fortnite」、オンライン会議、ヴァーチャルワークスペース「Horizon Workrooms oVice」などに注目している。
メタバースの市場は将来大きく拡大するだろう。新たなビジネスの場を提供し、新しい職種を生み出し、ブランドに無限の可能性を与える。メタバースはスクリーンやヘッドセットを通してのみ存在するのではなく、物理世界での体験や場所ともつながるようになる。
DAO=Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)の概念は衝撃的。ブロックチェーン上で成立する組織の新しい形で、同じ目的や同じ種類のアセットを持った人々が集まるコミュニティだ。例えば、大規模で管理金額が大きく新たなDeFi(分散金融、分散型金融)プロジェクトへの出資を目的とする「BitDAO」、入会は審査制かつ有料で起業家・VC・コレクター・アーティスト・ミュージシャンの集まりであるWeb3界のSoho House的な「Friends With Benefits(FWB)」が面白い。FWBはパーティなどリアルのイベントもやっている。
DAOは中央集権的管理者がいない組織で、民主的に運営がなされる。透明性と公平性が高いのが魅力。DAOの注目度が高まることで今後多くの投資が集まるだろう。女性とLGBTQ+のNFTアーティストを支援する「UnicornDAO」や、ウクライナ政府のファイナシング活動を支援する「UkraineDAO」などもある。
アートやクリエイティブ、エンターテインメント、社会活動の可能性の広がりに寄与するバーチャル空間上で行われるさまざまな活動が、DAOや先述したメタバース、NFT、Web3。現状では男女・地域・人種の比率や、各プラットフォーマーのルールなどに準拠するゆえに中央集権性、民主性、ダイバーシティー&インクルージョン含めまだまだ課題もあり発展途上だ。インターネットの黎明期に日本はやや出遅れ気味だったが、その後キャッチアップした。日本でも今後、新しい価値観や考え方を持った若い人たちが活躍してどんどんバーチャル空間上で新しいプラットフォームや時代を切り拓いて欲しい。
■メタバースセッション
「メタバース」とは何なのか?
ビジネスインパクトと最新動向、そして将来展望
【パネリスト】
〇柴野 相雄氏 (TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)
〇関口 章久氏 (東京エレクトロン株式会社 Corprate Innovation本部 本部長補佐 (Technology担当))
〇市原 康史氏 (東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 グループ経営推進部門 次長)
〇岩花 修平氏 (PwCコンサルティング合同会社 ディレクター)
【ディスカッションナビゲーター】
〇大里 希世氏(フリーアナウンサー)
(お写真右から、柴野さん、関口さん、市原さん、岩花さん、大里さん)
各分野の専門家が大里氏の司会のもと、メタバースについての知見や自社の取り組み、今後の可能性への意見・提言を述べた。以下は要旨。
「リアル社会での課題・要請の解決策としての仮想世界に対するニーズの醸成、およびそれに答えるための技術や資金などのインフラ提供の動きが相まってメタバース市場が活性化されてきた。社会的側面/技術的側面/経済的側面がある」
「メタバース市場の特徴について。MBという言葉自体、確たる定義や市場領域が曖昧な状況だ。今後の成長や技術進化により、市場領域やエコシステムが広がる可能性があるため、市場動向を注視し、参入機会や成長機会を精査する必要がある。共有制/相互性/経済性/発展性の4側面を見ていくべき」
「アバターを介してログインし、地理的・身体的制約を超えたコミュニケーションがデジタルを介して行われるMBの特性は、ダイバーシティーに富んだコミュニティを形成できる可能性がある。また、現在の技術では手に持つコントローラーによる入力や上半身中心の動きの再現、ゴーグルなどによる視覚・聴覚に頼った没入感が中心であるが、将来的にはAIや入出力デバイスの多様化による価値向上が見込まれる」
「企業からは自社でMBをどういうふうに活用したらいいか? という可能性検証依頼が多いのが現状。そのためのメニューの用意・実績はある。事業参入にあたって検討すべきは、
Economy/Persistence/Experience/Interoperability/Governance/Identifyの6つ。ビジネスモデルの事業性だけでなく、永続的な仮想世界やエコシステムの形成、高度な没入感を実現する仕組み、プラットフォームや仮想/現実を跨いだ相互運用性、ガバナンス、認証方式などを定量・定性的に分析しビジネス判断する必要がある」(以上、PwCコンサルティング・岩花氏)
「メタバースの世界を創り体験するには、レンダリングソフトやハード、世界からアクセスできる高速インターネット、リアルな3次元体験が出来るUI・ヘッドマウントディスプレイ、実装された世界の運営実務そして膨大なデータ処理能力が必要。それらの鍵を握るのが半導体だ。大きく分けてLogic/DRAM/3D NANDの3つで、いずれも増産ニーズがある。東京エレクトロンは半導体製造装置を作る会社としてメタバースの進展・進化に貢献している」
「当社だけで半導体関連で年間2000億円以上の投資をしている。もちろんメタバースだけではなく、各種インフラ、携帯電話関連、自動運転やIoT関連にも使われており、半導体およびその製造装置は常に進化を続けなければならない」
「メタバース内の保存すべきデータと破棄するデータの選別、ビジネス取引の信頼性の確立、コンテンツの齟齬や瑕疵の許容範囲、そして紛争や裁判などの社会的課題をどうやって技術的に解決するかも課題。海外への技術流出を防ぐためのルール制定も重要と考える。メタバースには国境がないので、日本企業はさらなる国際性を身に付けたい。また、相乗効果のある関連技術が非常に沢山あるので、国レベルで態勢を作り日本を盛り上げてほしい」(以上、東京エレクトロン・関口氏)
「秋葉原駅や駅周辺エリアを再現したオリジナルのバーチャル空間『Virtual AKIBA World(VAW)』を展開している。“体験の価値”を提供することが大切と考えており、リアルとバーチャルの間をつなげていく存在でありたい。“通過する、集うから、つながるへ”という理念の『Beyond Stations構想』のモデルのひとつがVAW、『シン・秋葉原駅』であり、『トレインケイバ2022』なども含めMBという新機軸を活用している」
リアルからバーチャルにお客様を誘引する拠点として「VAWゲートウェイというリアル施設を秋葉原駅に設置した(現在は撤去)ところ、そこからのバーチャル空間=VAWへの流入が最も多かった。本物の駅は、バーチャル世界への入り口としても大切だと認識した。リアルとバーチャルの垣根をなくしていき、オフ会などコミュニケーションの促進や、将来はスマホからの流入で旅、買い物などができるような世界の構築も目指していきたい」
「新しいことをやるには、実施した場合何が起こるかを想定して先を読んで果敢な取り組みをしていく。この新規事業はお客様にどういう価値を生むのか、お客様そして世の中をどう変えていくのか、存在意義は何なのかを常に検証する。メタバースは新しい人の生き方、世の中作りに大きな影響を与えると考える。できるだけ多くの方にMBを身近に感じていただき、ひいてはメタバースがリアルな世界をも変えていくことを期待したい」(以上、JR東日本・市原氏)
「メタバースと法規制について。メタバース関連の法体系においては、裁判管轄・準拠法/プライバシー、セキュリティー/業規制/消費者保護規制、表示規制/人格権、財産の保護、などが関連してくる。既存の法律でどこまでどう対応できるかを確認しながら、新しいルール・規律を作っていく必要がある」
「国境を越えた事業取引、リアルとバーチャル間の取引であるため、裁判所等の紛争解決機関による解決が効率的か?/時間とコスト、得られるメリットを考えた場合、経済合理性があるか?/国境を越えた取引への公法規制はどうなるのか? といった要検討事項がある。現状、メタバース関連のトラブル案件相談が多いわけではないが、既存の法律でどこまで対応できるか、そうでない部分をどうしていくか、そして海外とのトラブルの際の対応が今後課題になってくる」
「1日の時間には限りがあるのでメタバースは居心地のいい空間であってほしい。それを実現するための法制度も国として考えていかなければならない。コミュニケーションの新たな場としてのメタバース空間をつくれるようなルール作りを期待する」(以上、TMI総合法律事務所 柴野氏)
■NFTセッション
「NFT」が創り出す、ビジネスの新世界
【パネリスト】
〇平 将明氏(衆議院議員 (NFT政策検討プロジェクトチーム座長))
〇荒井 祥之氏(株式会社テレビ朝日 先端コンテンツビジネス担当部長)
〇園部 健二氏(パシフィックリーグマーケティング株式会社 執行役員 事業開発本部本部長)
〇丸山 智浩氏(PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー)
【ディスカッションナビゲーター】
〇大里 希世氏(フリーアナウンサー 大里 希世氏)
(右から 平さん、荒井さん、園部さん、丸山さん、大里さん)
NFT=Non-Fungible Token(ノンファンジブル=非代替性トークン)の概説からセッションはスタート。その後、各パネリストが大里氏の司会のもと自己、自社の専門分野や知見・経験に基づき発言した。以下は要旨。
「『コピー可能なデジタルデータに、偽造不可な鑑定書・所有証明書を発行できる仕組み』がNFTで、ブロックチェーン技術を用いて発展してきた。容易にコピーや改ざんができるため従来は資産価値を持ち難かったデジタルデータに、現物の宝石や絵画などと同様に資産価値を持たせることが可能。固有性/取引可能性/相互運用性/プログラマビリティがあり、アートやコレクティブ、スポーツなどのジャンルで使用実績が増えている」
「Web3.0を支えるキーテクノロジーである暗号資産、NFT、DAOなどへの関心の高まりを背景に、Web2.0から3.0へのパラダイムシフトが起きつつあり、ユーザー自らがID含めデジタルコンテンツの“所有感”を得る方向に向かっている。なかでもNFTは近年取引量(金額)が爆発的に増加し、注目を集めている」
「安全性を担保する取引の透明性、信頼性は既に確保できているが、デジタル資産自体が本物であるかコピーではないか、従来技術との組み合わせなどまだ課題がある。平議員も言及したように、国際競争を見据えた税制整備が企業の導入の鍵であり、トップの理解も必須だ」
「NFTは“Power to the people”というフレーズで語られ、コンテンツを持つクリエイターがダイレクトにつながる、より消費者目線に立った世界観が今後広がっていく。新しいファンのコミュニティや商品の有り様も広がっていく。社会と政府の認知・理解も得られつつあり、今は大きなチャンス。企業はビジネスにつなげるためにチャレンジングな取り組みを」(以上、PwCコンサルティング・丸山氏)
「Web3時代を見据えた我が国のNFT戦略に関するホワイトペーパーを2022年3月末に出した。Web3全体をとらえ課題を抽出し、課題解決の方向性を示している。米国、英国でもWeb3、デジタルアセット関連の施策が次々と発表されている。“トークンで回る経済圏”が急激に大きくなっている、そこにどういう形でビジネスとしてコミットしていくか、が重要だ」
「日本はゲームやアニメなどコンテンツの宝庫。ただし、価格がクオリティの割に安すぎるという問題があった。NFTを利用することにより価格を世界水準に引き上げられ、日本のコンテンツ市場を盛り上げていける。法律や、規制の解釈、権利関係の調整が未整備なので大企業は二の足を踏んでいる部分があるが、世界も急速に動き始めているのできっちりと整備していきたい。また、暗号資産の評価、税の取り扱いも現状はWeb3時代に合っていない。例えば、企業が慣習や安全性を考慮してわざわざ法定通貨に転換して取引をしなくてもよいルールにしたい」
「岸田総理のもと国家戦略、骨太の方針にWeb3の推進が位置づけられた。これからは各役所も順次対応する。何が適法か、の議論や検討も進む。過度な規制はイノベーションを阻害する。まずは税制の整備からだろう。アナログの価値、コンテンツの価値を最大化するためにNFTを含めたデジタルを使って欲しい。日本はコンテンツ大国であり、Web3ネイティブ世代によるキラーコンテンツがこれから出てくる。われわれの世代はしっかり基盤を作り、法律・規制や税制を直すことだ。政府も企業もトップが理解して情熱を持って推進するべき。ただしコンテンツ作りについては邪魔をせず、分かっている若い人に任せるべきだ」(以上、衆議院議員・平氏)
「国内地上波テレビ局として初めて2021年12月に、東映ロボットアニメ作品トレーディングカードと、ショートアニメ動画の2種類のNFTを発売した。今年になって海外向けにも新たなコンテンツを販売開始し、4月にはNFT/メタバースなどの最新ニュースのキュレーションサイト「epio」を公開した。そこではテレビ朝日グループの取り組みだけでなく、国内外問わずNFTなどのビジネス事例をキュレーションしていく。メタバースについても当社の新卒採用会社説明会を含め、さまざまな施策を実施している」
「NFTは会員権、ファンクラブといったファンビジネスに結びつけたい。リアルイベントとも連携して幅広く多くの人に楽しんでもらえるように。テレビ局一丸となってユニークなジャパンコンテンツを発信していきたいという思いもある。テレビ局のコンテンツの権利関係は特に煩雑なので、暗号資産関連の税制は改善されると助かる。当社はトップの理解、新しいことへのチャレンジ精神がある。本当のNFT浸透はこれからであり、リアルワールドと結びついて日常生活に入り込んでくるNFTを作っていきたい。そうなるとビジネスも広がると思う」(以上、テレビ朝日・荒井氏)
「パンデミックによる観客動員の大幅減少がきっかけで、まずは西武ライオンズと提携して『ライオンズコレクション』や人気選手の1点もののタペストリーをNFT化して販売した。その後、パ・リーグ6球団の好プレー、例えばロッテ佐々木朗希選手の完全試合コンテンツをNFTで比較的高めの値付けで販売することができた。ただ、賭博該当性関連やレピュテーションリスクの面で販売コンテンツの多様化、拡大にはまだ難しい部分があり検討を重ねている」
「パ・リーグのファンを増やし、ファンのニーズを汲み取り喜んでいただくためにNFTを利用している。今後も付加価値の高い魅力的なコンテンツを増やしていきたい。当社はパ・リーグ6球団すべてが株主で、セ・リーグには類似のマーケティング会社はない。トップの理解もあるので、新しい技術が更にでてきたら積極的に取り入れ、6球団まとまっての“リーグビジネス”としてスピード感を持ってNFT/メタバース含め新しいことに積極的にチャレンジしていきたい」(以上、パシフィックリーグマーケティング・園部氏)
2022年6月21日(火) オンラインにて開催・配信
source : 文藝春秋 メディア事業局