日米新協議体のカラクリ、日銀の王子と女性の台頭、日報隠蔽問題の代償、ピンチの旧郵政省

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★日米新協議体の絡繰(からくり)

 日米首脳会談で北朝鮮と並ぶ最大テーマだった通商問題は、またも3文字のアルファベット協議体の新設で着地した。かつてのSII(日米構造協議)、最近のTPP(環太平洋経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)から、新たに登場したのは、自由、公正、相互的の英語の頭文字をとった「FFR」だ。

 事前の対米折衝を手掛けたのは、柳瀬唯夫経済産業審議官(昭和59年、旧通産省入省)。安倍晋三首相の元秘書官であり、加計学園問題のキーパーソンだ。経産省が前面に出ざるを得なかったのは、先に設けたペンス米副大統領と麻生太郎副総理・財務相による日米対話がうまく機能しなかったためだ。

 両氏とも大物過ぎて小回りがきかないことや、両者の波長が合わない事情、さらに不祥事による麻生氏の求心力低下が背景にあった。そこで官邸は、トランプ米大統領の関心が深い通商問題に的を絞り、財務省から経産省へシフトする戦略を練った。

 ところが、今度は柳瀬氏自身が渦中の人となり、身動きがとれない。そこで今井尚哉(たかや)首相秘書官(57年)らは「麻生・ペンス対話」の下部機関として、茂木敏充経済再生担当相とライトハイザーUSTR(通商代表部)代表による通商対話を企画。「麻生氏が格下の茂木氏に下請けをゆだねた」という形で政治家のプライドに配慮した。

 また、FFRは、実質的にはFTAとかわらない2国間協議であっても、言葉が違えば辛うじて言い抜けもできる。しかもTPPの話もできるという理屈が成り立つ。

 SIIでは重要な脇役だった旧大蔵省は、福田淳一前事務次官(57年)がセクハラ疑惑で辞任したこともあって全く姿は見えずじまい。日米対話での麻生氏の存在感低下と茂木氏の登場は、政権内の官僚機構を巻き込んだ力学の変化を映し出しもした。

★日銀の王子と女性の台頭

 黒田東彦(はるひこ)総裁(42年、旧大蔵省)の2期目がスタートした日銀。政策立案を指揮してきた雨宮正佳氏(54年、日銀入行)が、理事から副総裁に昇格し、人事や業務も掌握したことで「5年後の総裁候補」の地位を確保した。

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source : 文藝春秋 2018年06月号

genre : ニュース 政治