3月4日に行われたイタリアの総選挙は、おおかたの予想どおり、過半数を獲得できた党無しの結果で終わった。おかげで2週間が過ぎた今でも、誰が次のイタリアの国政をにぎるかは皆目不明な状態がつづいている。
それでも、躍進いちじるし、でくくるならば二つの勢力があって、その第一は初めて第一党になった「五ツ星(チンクエ・ステッレ)」。
第二は、ベルスコーニがまとめあげた中道右派内の一党ではあっても、フランスのル・ペン女史を始めとするヨーロッパ諸国の右翼と親密な関係にある、サビーニ率いる「北部同盟(レーガ)」。こちらは、大親分をつづけてきたベルスコーニとその一派を追い抜いて、中道右派では第一党に躍り出た。
五ツ星も北部同盟もトップは30代から40代なので、また、上下院の議長から各党の高年層はそろって落選したので、年齢からすれば新旧の世代交代のように見える。だが、この二党の躍進の要因は別にある。
第一に、選挙公約で大盤振舞いをしたこと。
五ツ星のそれは、イタリア語の直訳だと「市民権(つまり国籍)所有者の当然の収入」と呼ばれ、低収入層で失業している者の全員に最高で月額780ユーロ与えるというもの。日本円に直せば、月に10万円になる。一家5人として両親と子供も失業していれば、50万円を国が保証するというわけ。これで、失業率の高い南イタリアから五ツ星に、どっと票が流れたのだった。
一方、生産者が集まっている北イタリアを地盤にする北部同盟は、40パーセントを越えている税金を一挙に、一律で15パーセントに落とすという公約をかかげた。
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source : 文藝春秋 2018年05月号