ハイヤー問題から政権との関係までを語り尽くす
正直、僕になぜNHK会長という白羽の矢が立ったのか、いまでもよく分からないんです。一部メディアで候補者として名前を挙げられても、そんなはずはないと思っていた。僕は当初から「安倍首相のお友達」だと言われてきたけれど、そのころはまだ安倍さんと面識もありませんでした。
三井物産副社長や日本ユニシス社長を歴任後、2014年1月にNHK会長に就任した籾井勝人氏(74)。着任早々、「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」、「(従軍慰安婦は)戦争をしているどこの国にもあった」という発言が物議を醸した。
今年1月に退任するまでの3年間で、度重なるスキャンダルを国会で追及されるなど、その一挙手一投足が注目を集めてきた籾井氏が、在任中を振り返り、その心境を明かした。
当時はマスコミによって“官邸のNHK支配”がしきりに取り沙汰されており、僕の会長就任もその一環だとされていた。こうした見方に拍車をかけたのが、就任会見での「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」という発言でした。
あの発言は、あくまで国際放送に関する文脈で語ったことです。NHKの国際番組基準には〈わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える〉とある。例えば尖閣諸島について、政府は日本固有の領土だとしていますが、こうした公式見解を正しく伝える必要があるということを話したつもりでした。
しかし、僕に「安倍首相のお友達」というレッテルを貼ろうとしている人たちにとっては、たいへん都合のよい発言だったのでしょう。僕ももっと慎重に言葉を選ぶべきだったかもしれません。ただ、結果的に発言の一部が切り取られて一人歩きしてしまったのは、誠に遺憾なことでした。
無謀だったかもしれませんが、僕はNHKの文化を変えたいと思っていました。長い歴史の中で溜まった澱を見つけ出し、綺麗にすることが、民間企業出身の僕の使命だと考えていたのです。
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source : 文藝春秋 2017年12月号