巨大市場を牛耳る9人の異端経営者

大特集 中国の本当の話をしよう

高口 康太 ジャーナリスト
ビジネス 国際 中国 企業

13億人の中で屹立する強烈なカリスマたちの素顔

馬雲氏 ©時事通信

 今、中国の民間企業が面白い。かつては石油、電力、銀行などの国有企業ばかりが目立つ印象だったが、ここ数年はIT系を中心に民間企業の活躍が目立つ。企業の評価を示す時価総額では民間企業が1、2位を占めているほどだ。

 建前上は社会主義の国でこれほど民間企業が発展するのも皮肉な話だが、1977年の文化大革命終結宣言以降、民間企業は静かに成長を続けており、今や百花繚乱の時代を迎えている。

 高度成長期の日本が名物経営者を輩出したように、高成長が続く中国でも強烈な経営者が続々と登場している。10倍の人口を持つだけに、日本以上に強い個性を持った経営者が目立つ。時価総額や経営手腕、カリスマ性などを総合して、現代中国を代表する8社9人の企業家を番付方式で紹介したい。

東横綱 阿里巴巴集団(アリババグループ) 会長 馬雲 1964年生

 中国民間企業二強の一角を占めるのがEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団だ。今や時価総額は4000億ドル(約44兆円)を超え、グーグルやアップルと並ぶ世界的IT企業の1つとなった。

 分社化したアント フィナンシャル社もモバイルとオンライン決済「支付宝(アリペイ)」を擁する巨大企業だけに、創業者の馬雲(マーユン)は中国ナンバーワンの経営者と呼ぶにふさわしい。海外ではジャック・マーという英語名で知られる馬は、口八丁手八丁の弁舌家だ。

 IT企業トップというと、技術に明るい理系人間が多い。そんな中にあって、英語教師あがりの馬は異色の存在だ。子どもの頃からケンカが強いガキ大将として知られ、勉強は大の苦手。特に数学は壊滅的で大学入試では120点満点中3点という無残な成績で落第。2浪の末、どうにか杭州師範学院に補欠合格を果たした。勉強は苦手だが、学生時代から英語だけはネイティブ並みだった。旅行に来た外国人相手に無料ガイドを買って出て鍛えたという。コミュニケーション能力がずば抜けているのだ。

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source : 文藝春秋 2017年11月号

genre : ビジネス 国際 中国 企業