発言力を高めれば日本の株価はまだ上がる
池上 村上さんの新著『生涯投資家』(6月21日小社刊)を読みましたが、日本の経営者は企業価値を高める努力を怠っているという主張は、「物言う株主」として村上ファンドを率いていた時代から一貫していますね。
村上 一言で言えば、コーポレートガバナンス(企業統治)の重要性です。日本でも上場企業が守るべき規範をまとめたコーポレートガバナンス・コードが金融庁と東証によって2015年に定められて、昔よりは多少改善されました。でも、まだまだプロセス途中です。
池上 そんな村上さんの視点からは、上場廃止になるかもしれない東芝の問題はどう見えますか。
東芝は米国式経営に学び、2003年に委員会等設置会社に移行しました。社外取締役も複数いて、いち早くコーポレートガバナンスを導入した企業のはずでしたが。
村上 東芝のコーポレートガバナンスは、形式だけだったということでしょう。大事なのは、誰が社外取締役を選ぶかです。経営陣に選ばれた社外取締役では、どんなに肩書が立派でも、経営内容を厳しく精査することなんてできないと思います。
池上 しかし、東芝のように半導体から原発まで多様な事業をしている企業だと、社外取締役がすべてをチェックするのは難しいのでは?
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source : 文藝春秋 2017年07月号