首相ブレーンが提案する新たな経済政策とは?
「僕は、状況が変われば意見を変える。君はそうしない?」
かつて、マクロ経済学を確立したイギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズはこう言い残したことで知られています。
私は2012年12月に発足した第二次安倍政権の内閣官房参与として、金融政策のアドバイザーを務めてきました。政策アドバイザーとは医者のような存在です。日本経済という“患者”は、安倍政権が推し進めるアベノミクスという“処方せん”により、停滞した20年という“病気”から一応回復することができました。安倍首相が金融政策の効果をよく理解してデフレに立ち向かい、日本経済が生き返ったことは日本国民が一番よく知っていることでしょう。実際、当初のアベノミクスは目覚ましい成果を上げました。私はその成果を100%認めています。
しかし今、日本経済は世界各国で起こる波乱要因に翻弄されています。特に過去1年あまり、予想外の出来事によって、アベノミクスはやや手詰まり感を見せています。
私が日本経済新聞のインタビューで考えを変える発言をしたことが話題になっているようです。メディアは一般的に自分たちが信じることを学者や評論家に言わせる傾向があります。しかし、今回の日経新聞のインタビューはそうではありません。私が「自分の考える枠組みに変化がある時は、正直にそれを伝えたい」と思ったことは事実です。
今は、従来の金融政策に新たな政策を加えることで、日本経済回復への道筋がより強固となると考えるようになりました。
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source : 文藝春秋 2017年01月号