「成長を求めるな、幸せを求めよ」 (取材・構成・中村竜太郎)
![](https://bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/7/0/1600wm/img_70dbdc75f4517ecb53b600c6767d3fc1331147.jpg)
〈貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ〉
ウルグアイ第40代大統領ホセ・ムヒカ氏は、2012年ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連会議で聴衆に向けてこのように語りかけた。188カ国から首脳と閣僚級や政府関係者などが参加し、自然と調和した人間社会の発展や貧困問題が話し合われたこの会議。約8分間のスピーチが終わると、静まりかえっていた会場は一転して、大きな拍手に包まれたという。
この日の演説をきっかけに一躍時の人となったムヒカ氏は、質素な暮らしぶりでも注目された。大統領公邸には住まず、首都モンテビデオ郊外の古びた平屋に妻のルシア・トポランスキ上院議員と2人暮らし。1987年製のフォルクスワーゲンをみずから運転し、公用車に乗る時も、決して運転手にドアの開け閉めをさせない。給与のほとんどを寄付し、月1000ドルで生活しているという。個人資産はくだんのワーゲンと自宅と農地とトラクター。その暮らしぶりから「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれている。
現在は大統領を辞し(2015年3月で任期5年満了)、一国会議員となったが、暮らしぶりはずっと変わらない。そんなムヒカ氏が今年4月に初来日し、小誌の単独インタビューに応じた。「世界一貧しい大統領」は、現在の日本をどのように見たのか。
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まずは、質素な生活ということで注目されたことについてたずねると、ムヒカ氏は「いやいや」と首を横に振りながら、こう続けた。
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source : 文藝春秋 2016年06月号