世界一危険な最高指導者の次の一手を読み解く
世界最強の閉鎖国家と言われる北朝鮮。欧米の人々は「The Hermit Kingdom(隠者の王国)」と呼ぶ。
日米韓は、地表にある30センチの物体も識別できるキーホール偵察衛星や、高度1万8000メートルまで上昇する高高度無人偵察機グローバルホークなど、最新鋭の機器を使って北朝鮮を監視している。この作業に携わっている人々が今回、口々に「最後まで半信半疑だった」と語った。2月7日に北朝鮮が平安北道東倉里から発射した長距離弾道ミサイルのことだ。自信がなかったのも無理はない。肝心の機体を最後まで確認できなかったからだ。
1月6日の核実験から間もない時期、東倉里の基地に隣接した駅に列車が到着したが、貨物を確認できなかった。駅のプラットホームが遮蔽物に覆われていた。貨車の大きさから、長距離弾道ミサイル「テポドン2改良型」2基分を運び込んだと思われたが、確証はなかった。
機体はそのまま組み立て棟に運ばれたようだった。そこで組み立て、棟ごとレールに乗せて発射台に運ぶ。行動のほとんどは夜間に行われたようだ。衛星は夜間、赤外線レーダーを使うが、熱源がなければ識別できない。発射台には昨年末から白い覆い幕がかけられていた。
日米韓がほぼ発射で間違いないと判断したのは1月末。発射台のそばに放水車が出動したのを確認したからだ。東倉里の基地は、燃料パイプを地下に収納しているため、たとえ機体が見えても注入開始を判断することは難しい。だが、放水車の存在は、燃料注入の際に起きうる火災事故に備えたものだと判断できる。放水車は2月3日までにすべて撤収、注入が終わったことをうかがわせた。
果たして北朝鮮は6日、それまで「8〜25日」としていた発射予告期間を「7〜14日」に前倒しすると国際機関に通告した。東倉里の天気予報は8日から11日まで曇天で降雪もあるというものだった。乱気流や降雪による計器の誤作動を避けるため、7日発射が有力視された。そして予想通り、7日午前9時(日本時間同9時半)に長距離弾道ミサイルが発射された。
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source : 文藝春秋 2016年04月号