おおしま なぎさ 享年八十。『青春残酷物語』『愛のコリーダ』『戦場のメリークリスマス』などの映画を監督し、戦後における日本の前衛的映画をリードした。平成二十五年一月十五日、肺炎のため死去。
ジャーナリスト・田原総一朗(たはらそういちろう)が司会の討論番組『朝まで生テレビ!』では大島の大胆な発言が注目された
大島渚監督、大兄はわれらが世代の最大の映画監督、というよりも昭和が生んだ最大の芸術家でした。
それも戦う芸術家でした。
大島さんは“日本の夜と霧”を、松竹があなたに無断で上映中止したことに怒って松竹を辞め、その後、数々の、いずれもこの社会に強烈な爆弾のような映画をつくりつづけました。
私は、大島さんの“愛と希望の街”“青春残酷物語”から、“戦場のメリークリスマス”“御法度”まで、全ての作品を見て来ました。通常は、若い時代はエネルギーに燃え、見るものを立ちふるわせる作品を打ち出しても、中年以後になると分別が出て来て、見るものを安心させてしまう作品になるのですが、大島さんは、逆に年とともにより衝撃的な作品を出しつづけました。怒りの塊のような人物でした。
このような芸術家は前代未聞です。
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source : 文藝春秋 2014年12月号