ライバルはGE、シーメンス……。「英国病」からいかに脱却したか
佐藤 私が日本経済新聞記者として日立を取材していたのは、一九九〇年代の後半です。今はどうかは分かりませんが、記者仲間では東芝「旗本」、三菱電機「殿様」、松下電器(現パナソニック)「商人」、そして日立を「野武士」と言っていました。実際に取材してみて、この喩えは言いえて妙だと思いました。
野武士を象徴するのが、電子顕微鏡の技術開発でノーベル物理学賞の有力候補に挙げられた外村(とのむら)彰さんです。
川村 外村さんは残念ながら昨年五月に七十歳で亡くなられました。惜しいことでした。
佐藤 技術を重視する日立の企業風土は、創業者の小平浪平翁の経営哲学と無関係ではない。その精神は今でも脈々と生きていますか。
川村 企業理念として「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」ことを掲げています。二〇一〇年に創業百周年を迎えました。驚くことに、行く末がまだ定まらなかった創業期に、小平の方針で製造技能教育を目的にした見習工三十六人の「徒弟養成所」という学校(現日立工業専修学校)を設立したのです。
佐藤 翁は日本で初めて五馬力のモーターを開発した優秀な技術者です。それ以上に経営者として評価が高かった。
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source : 文藝春秋 2013年06月号