スパコン「京」から炭素繊維まで
世界が瞠目した技術立国・日本の底力を見よ!
「天然資源のない日本は、科学で知的財産を生みだし、日本の力としなければならない」
これは山中伸弥京都大学教授が、ノーベル賞受賞の翌日の記者会見で語った言葉です。わが意を得たりと思いました。天然資源の乏しさは日本の宿命です。だからこそ日本は科学によって知的財産を生み出さなければならない。実際、日本はこれまでも科学技術力をベースに経済を発展させてきました。これからも科学技術は、日本の繁栄の基礎でありつづけるだろうと思っています。
東日本大震災の直後、一昨年四月から私は本誌の巻頭随筆を書いてきました。連載タイトルは「日本再生」。この中で科学技術に関する話題を積極的に取り入れて書いてきました。それは日本の将来を救うのは科学技術しかないという思いがあったからです。
日本の科学技術には、独自の強みがたくさんあります。それをここで紹介していくつもりですが、前提として日本が今、どういう状況に置かれているのかをマクロな視点から考えてみたいと思います。ヒントになるのが、昨年十二月十日、アメリカの国家情報会議(NIC)が発表した「グローバルトレンド2030」。NICは中央情報局(CIA)や米軍などのインテリジェンス部門で構成される組織です。ここから五年ごとに将来の国際情勢を見渡す「グローバルトレンド」レポートが発表されてきましたが、最新版が扱っているのは二〇三〇年の世界です。これが世界の将来を展望する上で非常に役に立つ。ちなみにインターネットでNICのホームページにアクセスすれば、このレポートとその要約版のPDFを誰でもダウンロードできます。
国力を占う目安として最重要なのは、その国の人口です。ただし子供が多すぎたり、年寄りが多すぎたりしても、社会的な負担が大きくなって経済成長の阻害要因になる。したがって、子供の数と年寄りの数がほどほどで、働ける人数がたくさんという条件が揃ったとき、その社会は効率的に経済発展をとげることができると考えられます。これが、人口学の言葉でいう「機会の窓」です。
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source : 文藝春秋 2013年02月号