栗林忠道 心優しき鬼

101人の輝ける日本人

新藤 義孝 衆議院議員
ライフ 政治

太平洋戦争末期、硫黄島の戦いを指揮した栗林忠道陸軍大将(1891〜1945)は、決別電報に次の辞世の句を遺していた。

〈国の為 重きつとめを 果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき〉

孫の新藤義孝氏(自民党政調会長代行)が栗林の生き様を語る。

栗林忠道

 祖父が亡くなったとき、娘である私の母は10歳でした。妻子に宛てた手紙には〈たこちゃん(娘)は可愛がって上げる年月が短かった事が残念です〉と書かれてありました。母にとって叱られた記憶がないというほどの優しい父親だったようです。

新藤義孝氏

 また、〈お勝手の下から吹き上げる風を防ぐ措置をして来たかったのが残念です〉と記し、普段は家の手入れをする良き家庭人であったことが偲ばれます。

 栗林は、硫黄島に着任してから米軍襲来まで、何通もの心温まる手紙を妻や子どもに送っていました。子煩悩で家庭を大事にする優しい人が、戦場では一転して鬼と化し、島内に洞窟陣地を掘り地下要塞とし、米軍を攪乱する持久戦を決断。兵士には玉砕攻撃を禁じ、「各自十人倒すまで死んでも死ぬな」などと敢闘の誓いを配布した。約2万2000人の日本側守備隊は全滅するも米側にも日本側を上回る死傷者を強い、太平洋戦争最大の激戦となりました。

 圧倒的に物量に勝る米軍を前に、栗林を始め日本の将兵たちは、弾薬はおろか水も食料の補給もなかった。絶望的な状況でも、なぜ最後まで戦い続けることができたのか。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
今だけ年額プラン50%OFF!

キャンペーン終了まで時間

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

オススメ! 期間限定

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

450円/月

定価10,800円のところ、
2025/1/6㊊正午まで初年度5,400円
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2023年1月号

genre : ライフ 政治