岸田官邸官僚の弱点、防衛議論「真の黒衣」、日銀総裁の行方、平成17年組の共通点

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★官邸崩壊、ふたたび

「官邸崩壊」。第一次安倍晋三内閣のころ、よく耳にした言葉が15年の歳月を経て復活した。岸田文雄首相が率いる首相官邸の官僚たちは、文字通り「崩壊」している。

「秘書官が若すぎる」と評された菅義偉前政権とは180度変わり、岸田内閣は事務次官経験者をずらりと官邸に揃えた。嶋田隆政務秘書官(昭和57年、旧通産省入省)、秋葉剛男国家安全保障局長(同、外務省)、栗生俊一官房副長官(56年、警察庁)、森昌文首相補佐官(同、旧建設省)と実に4人もいる。「霞が関に睨みをきかせる」のが目的だった。

 ところが、これは裏目に出た。出身省庁の官僚からすれば、次官経験者は煙たいうえに、実務から離れた「一丁上がり」の人。おのずと現役官僚は言うことを聞こうとしない。また次官まで経験した官僚は腰が軽いとは言えない。

 しかも木原誠二官房副長官(平成5年、旧大蔵省)という官僚上がりの若手政治家が首相側近として控え、木原氏の眼鏡にかなわない政策は何も通らない状況となっている。

 こうなると、次官経験者たちは自らの所管分野に閉じこもるようになる。旧統一教会問題の答弁変更や、閣僚のドミノ辞任になす術もなかったのは、こうした事情によるところが大きい。

 第二次安倍内閣の今井尚哉元首相秘書官(昭和57年、旧通産省)は「役所には戻らない」と宣言し、政治的に立ち回ることができた。岸田官邸に、政局観をもつ人間は見当たらない。官邸崩壊はしばらく止まらないだろう。

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source : 文藝春秋 2023年1月号

genre : ニュース 社会 政治