もし、あの日、自分や家族がそこにいたら…「異形の原爆遺骨」を生みだした8月6日に何が起きたのか

vol.173

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「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”

 自分のいちばん最初の記憶をふりかえってみると、おそらく、祖母に連れられて商店街のバス通りを歩いていた3、4歳の頃のある朝のことじゃないかと思います。

 視界は今と比べてとても低く、小さい子ども特有のちょっと不安定な揺れ方をしている。大きなバスを避けるように祖母が車道側を歩いていて、繋いだその手の向こうを見ると、道路の角に病院があって、文房具屋さんがあって、反対側には時計屋さんがあった。

 向こう側のパン屋のお姉ちゃんはよくおまけをくれる仲良し。もう少し歩いて銀行とスーパーを越えると、祖母の友人のおばあちゃんが住む家もあった。左手には、小学校が見えていました。

 広島の原子爆弾をめぐって前後編で綴られた堀川惠子さんの「異形の原爆遺骨」の原稿をお預かりするにあたり、その小学校の校庭でかつて、たくさんの人が亡くなり、どの遺体が誰かもわからない地獄絵図のような光景が広がっていたと、初めて知りました。

今も引き取り手のない遺骨が約7万人安置されている平和公園 ©文藝春秋

 記事で登場する神戸の弁護士・野口善國さんは、実家の墓じまいをしていて、瓦礫と一体化した原爆の犠牲者の遺骨を見つけました。時を同じくして、戦争について語らなかった野口さんの父が、秘かに残していた資料も出てきた。これは、一家全滅したと聞いている祖父母たちの遺骨ではないか。そう思った野口さんは、あの日の前後を巡る一家の歴史を調べ始めます。

 堀川さんから届く原稿を最初に読んだとき、まるで昨日のことかのように光景が立ち上がって、最新の災害ドキュメントを読んでいるような迫力を感じました。

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