『スクール☆ウォーズ』と伏見工の取材を経て、ラグビーに抱えていた“トラウマ”が払拭された

vol.172

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「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”

 昔から、ラグビーが嫌いでした。

 理由は単純で、痛そうだし、むさ苦しいし、よく分からないから。

 私の父は筋金入りのラグビー好きで、会社のラグビー部に入り競技に熱中していました。父は幼い私を練習場や試合に連れ出してくれましたが、ルールが分からない上に、灼熱のグラウンドで延々と試合を見続ける時間は、苦痛でしかありませんでした。せっかく試合を観に行くなら……と、ルールを教えてもらおうとしたこともありましたが、結局は試合に熱中し、話しかけても何も教えてくれない父。おまけに、父の出身大学のラグビー部の試合を観に行った際には、勝利に沸く大勢のオジサンたちにもみくちゃにされる始末。こうして私は、トラウマレベルでラグビーを嫌いになったのでした。

 そんな私が、6月初旬、デスクから命じられたのは「ドラマ『スクール☆ウォーズ ~泣き虫先生の7年戦争~』のモデルになった京都伏見工業高校ラグビー部の山口良治監督が亡くなったから、追悼記事を担当してほしい」というものでした。

初の全国大会優勝で選手を抱きしめる山口良治 ©朝日新聞社/時事通信社

 山口監督の訃報はニュースで見ていたものの、ラグビー嫌いは前述の通りだし、『スクール☆ウォーズ』も見たことがない。そのときの私の顔は、困惑というより、もはや少しムッとしていたかもしれません。「よりによって、なぜ私が担当に……」という気持ちが、顔にも出ていた自覚はありました。

 とはいえ、今回の記事の取材・執筆は、中日・落合博満元監督を描いた『嫌われた監督』の著者で、ノンフィクション作家の鈴木忠平さん。ノンフィクションの名著である本作を手掛けた鈴木さんと一緒に仕事ができるのは、願ってもない機会です。その楽しみだけを心の支えに、取材の準備に臨みました。

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