横田滋、松田昌士、ジョージ秋山、佐伯チズ、ジョエル・シュマッカー

蓋棺録

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム。

★横田滋

「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)の元代表・横田滋(よこたしげる)は、問題解決を粘り強く訴え続けた。

 1997(平成9)年、13歳で北朝鮮に連れ去られた少女が、いまも平壌で生きているという情報がもたらされる。決め手は「双子の妹」だという話で、実際には「双子の弟」がいるが、それは報道されていなかった。「ようやく見つけたと思いました」。

 32(昭和7)年、徳島県に生まれる。少年時代に北海道に転居。札幌南高校を卒業後、日本銀行に入行し、札幌支店を振り出しに転勤人生が始まる。名古屋時代に結婚し、娘と双子の息子を得て穏やかな生活が続いていた。

 新潟支店にいた77年、帰宅途中の長女が失踪する。地元の警察が公開捜査に踏み切って、延べ3000人の捜査員を動員したが行き詰まった。横田は妻と路上で協力を呼びかけ、テレビに出演して視聴者に訴えたが、何の手掛かりも得られなかった。

 北朝鮮による拉致という情報を得たとき、横田はすでに定年退職して川崎市で暮らしていた。長女の拉致事件が報じられてから、他の拉致被害者の家族たちと知り合い、同年3月に家族会を結成して横田が代表に推される。

 講演の依頼があれば必ず出向いた。「これまでに1400回くらい講演したと思います」。頻繁に報道されるようになると見当違いの批判も受けた。「日本で報道されると殺される」という人もいた。「それでも、知ってもらわなければ、めぐみは帰ってこない」。

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source : 文藝春秋 2020年8月号

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