月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。佳境を迎えた選挙戦。だが既に政局は参院選に向けて蠢きだしている。
事実上の選挙戦が佳境に入った11月25日の日曜日。首相で民主党代表の野田佳彦、自民党総裁・安倍晋三はともに、街頭に出て熱弁を振るった。
金融緩和発言で市場を味方につけた、と意気込む安倍は三重県津市で「総理はいろいろ言っているが、この論争は勝負あった」と勝利宣言。衆院選で台風の目となった日本維新の会の本拠、大阪府に乗り込んだ野田は豊中市で「第三極にかじ取りは預けられない」と声を張り上げた。翌26日は愛知県安城市で、街宣車の梯子から転げ落ちそうになったが、「アクシデントがあったが、民主党はずっこけない。必ずよじ登る」「第三極、第四極がどの方向へ向かっているのか分からない」と第三極への敵意をむき出しにした。
12月16日投開票の衆院選を皮切りに、来夏の参院選を経て、日本の政治は本格的な政界再編期を迎える。そこで野田が警戒するのが「第三極」である。
その第三極の真打ち、日本維新の会代表・石原慎太郎は「第三極じゃダメだ。第二極にならなきゃ」と断言する。なんとしても民主党を二大政党の座から蹴落とし、自民党も巻き込んだ政党の大再編を成し遂げる――。80歳で勝負をかけた石原の執念はすさまじい。
11月16日午前9時、ホテルオークラ。石原は自民党時代からの盟友、平沼赳夫や園田博之らを従えて大阪市長・橋下徹とひざ詰めの談判に臨んだ。平沼らの「たちあがれ日本」を母体とした石原の新党との合流に、橋下は懸念を示していた。その前日に石原が、名古屋市長・河村たかしの党との合流も決めたことで、「石原さんのマネジメントに疑問を持っている」と橋下は半ば、あきらめかけていた。
石原はこの会談ですべてを一気に覆しにかかった。会談場所も橋下が東京の定宿とするホテルニューオータニではなく、石原や平沼が好むオークラに設定して主導権をとる。石原は「現状では自民、公明両党で衆院過半数」との世論調査結果も示して「小さなことは気にするな。一緒にならなきゃダメだ」と政策も丸のみすると言い切り、合流を迫った。
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source : 文藝春秋 2013年1月号