先月下旬、ジョージ・ソロスの結婚式に招かれた。ニューヨーク市内のMoMA(ニューヨーク近代美術館)での前夜祭と郊外のカラムア音楽芸術センターでの披露宴と、式は二日間にわたった。
世界中から友人、知人が集まり、83歳のソロスと三回り以上若い新婦のタミコの門出を祝った。
披露宴での私のテーブルは、米国のほか、中国、香港、マレーシア、セルビアなどからの招待客で話が弾んだ。ほとんどがソロスとは20年以上の知己だ。
話はたちまちにしてシリア問題となった。90年代のクリントン政権でロシア、中東政策を担当したQ氏が言った。
「オバマ(米大統領)は、政治的には得点を稼いだ形だ。サマンサ・パワー(国連大使)はじめ側近はシリアへの軍事制裁を唱えたが、オバマは最初から煮え切らなかった。その後、米国民は急速に慎重論に傾き、いまでは4分の3は軍事攻撃に反対。オバマは民意をよく読んでいた、という評価になっている」
「ただ、軍事制裁をしないで済んだのはプーチンが手を差し伸べたおかげだ。オバマ政権のあっちにいったりこっちにいったりした姿も含め、米国は決められない、腰が定まらないと見られ、外交的には失点。プーチンの一人勝ちだった」
オバマは、化学兵器使用は「レッドライン」と宣言した手前、軍事攻撃による対シリア制裁を言明せざるを得なかった。ところが、英国のキャメロン政権が議会の反対で制裁から離脱、オバマは、米議会に軍事攻撃の権限付与を求めた。
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source : 文藝春秋 2013年11月号