私が朝日新聞社のアメリカ総局長としてワシントンに赴任した時、最初にしたことは、ワシントン・ポストのキャサリン・グラハム社主への表敬訪問だった。
もう20年も昔の話である。
その前週の金曜日に私はワシントン・ポストの宅配の手続きをし、日曜版からポスト紙が自宅に届くようになった。
そんな話から始めたところ、「そうなの? どこに住んでいるの?」とケイは聞いた。
市内フォックスホールの住所を告げると、「ちょっと待って」と言い、デスクまで行き、パソコンをいじり始めた。
なにやらクリックしていたが「本当ね。金曜日にサブスクリプションと入っているわ。見てご覧なさい」と言い、私を手招きした。彼女はその箇所を指さし、座ったまま私の顔を覗き込んで、にっこり微笑んだ。
その時のケイの嬉しそうな、そしてどこか得意げな顔はいまでも覚えている。
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source : 文藝春秋 2013年10月号