米外交界の大御所であるリチャード・ハース米外交問題評議会理事長がこのほど、「Foreign Policy Begins at Home, The Case for Putting Americaʼs House in Order」(Basic Books)という本を出版した。
〈外交は内政に始まる〉
国力を回復させないとまともな外交はできない、というのである。
ハースは、米国の前途に深刻な懸念を抱いている。
最大のアキレス腱は、国家債務である。
米国の国家債務は16兆ドルでGDPとほぼ同じ規模である。その債務は毎年1兆ドル増加する。それを補填すべく海外から毎日10億ドルを調達してやりくりしている。最大の債権者は中国である。
債務の重圧に対する懸念はほとんど恐怖感に近い。英国が1956年にスエズ危機の際、米国から突きつけられた最後通告のようなことを中国から突きつけられるのではないか、と本気で心配する。
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source : 文藝春秋 2013年9月号