月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。成長戦略を描けず伸び悩む経済。外交では首相周辺の不甲斐なさが目立つ。
ロシアのクリミア併合と中国の進出。二つの帝国主義勢力の勃興は、「冷戦後」を終わらせ、世界を20世紀前半の弱肉強食時代に戻しつつある。日本は、どう対処すべきなのか。艦長としてその舵をとるべき首相・安倍晋三は内政、外交ともに誤算が続き、身動きがとれない。東日本大震災から3年を迎えた日からの2週間ほどを振り返るだけでも、明瞭になる。
「アベノミクスのバロメーターは、なにより株価だ」
3月11日、首相官邸。安倍は居並ぶ経済関係閣僚を前に漏らした。
安倍の側近、経済再生担当相・甘利明が8%への消費増税、6月の成長戦略とりまとめを控えて呼びかけ、経済財政諮問会議の閣僚メンバーを集めた会合だった。副総理・財務相の麻生太郎、官房長官・菅義偉も顔をそろえた。
「事務方がいては率直な議論ができない」と甘利が関係省庁の官僚を出席させなかった席での安倍の発言。内閣支持率が高止まりし、国会もすいすいと乗り切る源が株高である。この政権は「株価依存内閣」であると、ほかの誰よりも安倍自身が承知していると告白した発言でもある。
民主党政権の8000円台から一気に跳ね上がった株価は、昨年末に1万6000円台をつけて以降は伸び悩む。金融緩和、財政出動に続く第三の矢となるはずの成長戦略、中でも核となる規制緩和に「見るべきものはない」と市場関係者も官僚たちも、見切ってしまっているからだ。
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source : 文藝春秋 2014年5月号