月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。ジョークも事前に準備する「安全運転」政権に、今日も対抗軸は現れない。
4月23日夜、羽田空港。大統領専用機で米大統領、バラク・オバマが来日した。当初は24日からの1泊2日となりそうだったのだが、外務省が必死の「外交努力」で23日夜から2泊の日程を勝ち取った。国賓としての来日だ。日米関係が盤石であることを誇示する演出にこだわる首相・安倍晋三の意思が働いていたことは間違いない。安倍は5月の中旬以降、集団的自衛権の行使容認に向け本格的に動きだす。その前に、同盟国・米国との蜜月関係を内外に示しておきたかったのだ。
2人はこの日の夜、東京・銀座の高級すし店「すきやばし次郎」で親密さをアピールしてみせた。ただ、国賓とは言っても夫人・ミシェルは同行しなかった。迎賓館での宿泊も辞退して東京・虎ノ門のホテルオークラ東京に宿泊。随所に空々しい対応も感じられた。盤石な日米同盟という演出は「張りぼて」にすぎなかった。
4月3日。集団的自衛権の行使容認に向けた局面が大きく動いた。
自民党副総裁・高村正彦が公明党代表の山口那津男らと会談し、行使容認に理解を求めたことが表面化したのだ。東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われたこの会談は「砂川判決」をめぐって論争になった。
砂川判決とは、東京都の米軍基地拡張に反対するデモ隊が基地内に入り起訴された事件の判決。最高裁は1959年の判決で「わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得る」とした。高村は、この部分から「集団的自衛権は限定的に容認できる」という論陣を張った。山口は「それは違うでしょう」と反論。55年前の判決の一部から解釈改憲の容認を読み解こうとする高村の考えに異論を唱えた。高村も山口も弁護士。法律論では負けない自負がある。論争は長時間に及んだ。
会談には、自民党側からは幹事長・石破茂と副幹事長の中谷元、公明党側は副代表・北側一雄、幹事長の井上義久が同席していた。石破はこの日の夜、会談のことがテレビニュースで報じられているのを知り、驚き、不快に思った。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2014年6月号