月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。集団的自衛権をクリアし、絶頂期の安倍政権。焦点は内閣改造に移った。
第186通常国会が6月22日に閉会し、政界の関心事は内閣改造・自民党役員人事に移った。
内閣改造は、各省庁による2015年度予算の概算要求終了後の9月が有力視される。閣僚人事では政権の屋台骨を支える官房長官・菅義偉、副総理兼財務相・麻生太郎、経済再生担当相・甘利明の続投は確実とみられ、大幅な入れ替えにはならないとの見方が多い。
しかし、12年12月に発足した第二次安倍内閣では一度も閣僚の入れ替えがなく、自民党内に膨れ上がった衆院当選5回以上、参院当選3回以上の「入閣待機組」には不満がたまっている。首相・安倍晋三は金銭スキャンダルや答弁ミスのない現在の陣容におおむね満足しているが、来年9月に控える自民党総裁選を意識すれば、各派閥の期待に応えねばならない立場にある。
「最後は金目でしょ」。環境相・石原伸晃は6月16日、東京電力福島第一原発事故の除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設建設に関し、難航する福島県側との交渉について記者団にこう語り、最終的には交付金など金銭で解決するとの立場を示した。
慌てて電話で経緯を問いただした官房長官・菅に対し、石原は「何が問題になっているんですか」。のんきな石原に、菅は、ただあきれるしかなかった。
結局、石原は緊急に記者会見して、「住民説明会で金銭の話がたくさん出たが、具体的内容は受け入れが決まるまで説明できないという意味だった」と釈明したが、過去に福島第一原発をオウム真理教施設になぞらえ「福島第一サティアン」と発言したことに続き、失言癖を強く印象づけただけだった。野党が提出した不信任決議案と問責決議案は20日の衆参両院本会議で否決されたものの、交代閣僚の一番手に挙がったのは間違いない。
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source : 文藝春秋 2014年8月号