安倍と石破、覆い隠せない溝

赤坂太郎

ニュース 政治

月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。内閣改造で見えてきた自民党内政局。二大知事選が新体制の運命を決める。

 8月9日昼。首相・安倍晋三は、官房副長官・加藤勝信、世耕弘成にそれぞれ電話し、いたずらっぽく話しかけた。

「産経新聞見た? そういうことだから、まあよろしく」

 同日の産経新聞には、安倍のインタビューが載った。そこで安倍は官房長官・菅義偉のほか加藤、世耕、杉田和博の三副長官らの続投を明言している。改造の約1カ月前、特定の新聞に首相が具体的人事を語るのは前代未聞のこと。加藤や世耕は他のポストに異動するとの見方もあっただけに、周囲はもちろん本人たちも驚いた。「新聞辞令」とは、伝聞に基づいてマスコミが伝える不確かな人事報道を指すことが多いが、加藤や世耕は正式な辞令を新聞を通じて受け取ったことになる。

 安倍が首相に返り咲いて600日を過ぎた。安倍にとって第一次政権の発足時、改造時、第二次政権発足時に続く4度目の人事は、知恵袋でもある菅ら少人数で練り上げられた。元財務相・額賀福志郎ら、派閥領袖の要望には耳を傾けたが、言質を取らせることは、ほとんどなかった。その代わりサプライズ人事を連発して党内を翻弄した元首相・小泉純一郎の名をあげ「小泉さんも人事は嫌だと言っていました」などと、けむに巻いてみせたりもした。

 第二次安倍政権の強みは、少々失敗しても、早く修正して傷を大きくしないところにある。昨年暮れ、特定秘密保護法を強行成立させた時や、今年7月に集団的自衛権を行使できるように閣議決定した時は、内閣支持率が大幅に落ちたが、その後、支持を回復した。その粘り腰が、小泉政権以来の長期政権の気配を漂わせている。

夏の“気の緩み”

 ただ酷暑の中、8月には政権の緩みも随所に見えた。

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source : 文藝春秋 2014年10月号

genre : ニュース 政治