月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。安保問題、増税を舞台回しに、永田町は「解散スパイラル」に入った。
「地方創生国会」――。どうひいき目に見てもキャッチーとは言えないネーミングがされた臨時国会。
安倍晋三首相は人口減少対策の理念を明確化する「まち・ひと・しごと創生法案」、国の地域支援策の窓口を簡素化する地域再生法改正案など関連法案の成立を急いでいる。衆参両院に、毎日審議可能な特別委員会を新設させる力の入れようだ。地方対策に力を入れる安倍の狙いは、永田町、霞が関のみならずメディアでも「来年春の統一地方選対策」と解説されている。さらに、2020年の東京オリンピックまでの続投もにらんだ安倍の「超」長期政権戦略と絡んでいる。
「これからは衆院選の準備も大事ですよね」
安倍は、内閣改造と自民党役員人事を行う直前の8月下旬、周辺にこう漏らしている。この言葉は「来年秋、早ければ来年度予算案が成立した直後の統一地方選とのダブルもあり得る」と受け止められた。
かつて自民党の金城湯池とされた地方の衰退は著しい。安倍が衆院解散・総選挙に打って出て、さらなる長期政権を確立するには抜本的な地方対策が必須なのだ。
安倍の念頭に衆院選対策があることは、自民党役員人事にも現れている。選対委員長への茂木敏充前経産相の起用だ。安倍と茂木との関係は、それほど深くはないが、前任の河村建夫元官房長官とは違って年齢も自民党議員歴も下で、こまめな報告を怠らない「忠臣」タイプの茂木の起用は、安倍にとって衆院選対策を自らの指揮下に完全に組み込むことを意味していた。事前に処遇を知らせない安倍が茂木には党四役での起用を間接的に伝えていたことに関係の深まりがうかがえる。
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source : 文藝春秋 2014年11月号