月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。人事と消費増税で消耗する政権。解散に出る“体力”は残っているのか。
安倍政権に潮目が訪れた。
9月の内閣改造で起用されたばかりの経済産業相・小渕優子と法相・松島みどりが10月20日、そろって辞任した。首相・安倍晋三は2012年末の第二次政権発足以来、最大の逆境に直面している。
改造人事で安倍は歴代最多に並ぶ5人の女性閣僚を並べ、看板政策である「女性活躍」を誇らしげにアピールしていただけに、小渕と松島のダブル辞任は皮肉な事態と言うほかない。
消費税率10%への再増税や原発再稼働といった難しい政策判断を控える時期に、政権の求心力は急降下してしまった。安倍がタイミングを熟考する衆院解散・総選挙の戦略にも影響するのは不可避だ。
「国会対策を長年やった感覚から言えば、2人とも続投は厳しいですよ」
若手の頃、国対畑に身を置いた自民党幹事長・谷垣禎一は17日、官房長官・菅義偉に警告した。巨大与党が腹を固めれば、数の力で法案成立を無理押しすることは可能だ。しかし、疑惑にふたをすれば民意の離反は避けられず、安倍長期政権を悲願とする菅にとっては受け入れがたい選択だった。危機管理にたける菅は谷垣の進言を踏まえ、週明け20日のダブル辞任で幕引きを図ると決めた。
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source : 文藝春秋 2014年12月号