「天皇の島」と呼ばれた地で何が起きたのか。生き残った者に課せられた語り継ぐ使命(聞き手・構成 早坂隆)
四月八、九日の日程で、天皇、皇后両陛下が訪問されたパラオ共和国。同国の南部に位置するペリリュー島は、太平洋戦争時に日米双方で約一万二千人が戦死した悲劇の地として歴史に名を刻む。この戦闘に直接的に参加し、戦後に帰還できた日本側将兵の数は、僅か三十四名。それ故、戦場の実像に関する証言は極めて少なく、今では多くの日本人にとって半ば忘れられた存在となっている。
戦後七十年。実際にパラオの地で戦った二人の元兵士は陛下のご訪問をどう受け止めているのだろうか。
棒地雷を渡されて
「ペリリュー島から帰還した三十四名」の内の一人である土田喜代一さん(95)は、大正九年一月二十日、福岡県八女郡で生まれた。天皇、皇后両陛下がペリリュー島を訪問されることを知った時、土田さんはこう感じたという。
ペリリュー島というのは非常に小さな島で、一般の人でも行きづらい場所です。そこに陛下が行かれるということになれば、靖国神社にいる戦友たちがビックリするんじゃなかろうかと思って。
ですから、私としては靖国の英霊たちも陛下と一緒にペリリュー島に行ってもらいたいわけですよ。『陛下がよもやこの島まで来られるとは夢にも思いませんでした。ありがとうございました』と御霊は喜び、そして再び靖国神社に帰られるでしょう。どれだけ英霊たちが感激されるだろうかなあと思っています。
戦友の中には「天皇陛下万歳」との言葉を残して息絶えた者たちもいましたから。ある工兵隊の少尉も「天皇陛下万歳」が最期の言葉でした。
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source : 文藝春秋 2015年05月号