月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。園遊会の立ち話で解党論議。「らしさ」の抜けない野党第一党の迷走は続く
全国の注目を集めた大阪ダブル選挙は、2015年11月22日に投開票を迎え、府知事選は現職の松井一郎、大阪市長選は新人の吉村洋文が当選した。どちらも地域政党「大阪維新の会」が推す候補。NHKはじめ報道機関が、投票が締め切られた午後8時、一斉に2人の当選確実を伝える圧勝で、前任の市長となる橋下徹の政治的影響力が健在であることをまざまざと見せつけた。
自民党は、市長選で勝ち「一勝一敗」の五分に持ち込みたかったが2敗に終わった。同時に行われた大阪市議補選(西成区)も負けているので、厳密にいえば3連敗となる。
だが、党全体がダメージを受けているようには見えない。橋下率いる国政政党「おおさか維新の会」は早晩、安倍政権と共同歩調をとると噂されている。松井が官房長官・菅義偉と昵懇の仲であることも周知の事実だ。安倍政権にしてみれば、この選挙は勝っても負けても痛くない選挙。言い換えれば自民一強の時代を象徴する一日だったともいえる。
主要20カ国・地域(G20)首脳会議出席のためトルコ・イスタンブールを訪れていた首相・安倍晋三に悲劇の一報が届いたのは現地時間13日の夜だった。
「フランス・パリで同時多発テロ発生。死傷者多数」
どういうわけか安倍は、外遊中に大きな出来事が起きる。1月の「イスラム国」がジャーナリスト・後藤健二らの拘束を公表した時、安倍は中東訪問中。2013年1月、アルジェリアの人質拘束事件の時は東南アジア歴訪中だった。古くは安倍の首相としての初外遊となった06年10月には、北朝鮮の核実験の知らせを北京からソウルに飛ぶ専用機の中で聞いた。
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source : 文藝春秋 2016年1月号