体力・気力がなくても生き残る〈弱者の戦略〉
(1)あまり仕事をしない
最近はかつてなく暇にしています。
人前に出る仕事をほとんど入れず、空き時間がほとんどになるような生活を送っています。特に「何時にここにいなくてはいけない」という仕事は少なくして、月に数回だけ生放送や収録があるくらい。合計しても、月に1日か2日ぐらいしか入っていません。
新聞や雑誌、ラジオにはほぼ出ていませんし、テレビやユーチューブの番組出演もマイペースにやれるレギュラーをいくつかやっているだけ。仕事を受ける基準も、拘束時間が短くて楽ちんそうで変な経験ができそうなもの、といういい加減きわまりないものです。
重厚長大で本格的な影響力や権威ある仕事はやりたくないですし、あちらも逃げていってくれているようです。私がいようがいまいが、誰も困りませんし、とても身軽な状態です。
依頼仕事というのは不思議なもので、鋼の意志で断っていると、新しいところからの依頼も来なくなるものです。それでも「メディアに出まくっている」とか言われるので、おそらく私の切り抜きや幻影でもご覧になっている方がいるんでしょう。実際、最近は自分の声フォントやアバターやAIクローンを作ったりしていまして、生身の自分が出ていかなくてもいい状態を整備していっています。
なぜ予定を埋めないようにしているかというと、まずは寝過ごしたときの罪悪感が辛いからです。さらに気分屋なので、受けたあとに面倒になって後悔することが多いんです。自分がそのときそのときで気が向いたことをやれるようにしておくために、暇でいることが大事。その結果、寝ているだけのことも多いんですが……。
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source : 文藝春秋 2024年1月号