大山のぶ代は夫 砂川啓介の棺に涙ぐんだ

マネジャーの手記 「夫の死を理解したのかどうか……」

小林 明子 マネジャー
エンタメ 芸能

認知症の妻を残し、夫はがんで逝った

大山のぶ代氏 ©文藝春秋

 砂川(さがわ)さんが亡くなったことを大山にどう説明するか、最後のお別れをしてもらう前の日から悩みました。「亡くなった」という言葉は使いたくなかったし、どうしたら理解してもらえるか。小さな子どもに話すようにしなければ、いまの大山には伝わらないのです。そこで、こう話しました。

「砂川さんが病気で、何度も病院へ会いに行ったよね? いま眠っているんだけど、これからも眠り続けてもう起きないのね。だから会いに行こうね」

 大山は「うん」と答えました。その「うん」が、いつもお見舞いに行くときの「うん」と同じだったかどうか、大山の顔を見ることができなかったので、私にはわかりません。

 お線香をあげてから棺の前へ連れて行き、砂川さんのお顔を見てもらったら、大山は、

「お父さん」

 と、涙ぐみながら言いました。でも次の瞬間には、出口へスタスタ歩き始めていました。

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source : 文藝春秋 2017年09月号

genre : エンタメ 芸能