10年以上続けていることというのは私の人生にはあまりないのですが、NHK Eテレの番組「びじゅチューン！」の仕事はそのひとつです。「モナ・リザ」や「見返り美人図」など世界の美術作品を歌とアニメで紹介する5分の番組で、2013年夏に初回を放送、2014年からレギュラー番組化され10年が経ちます。私が担当しているのは、番組で流れる歌を作詞作曲して歌い、その曲のミュージックビデオ的なアニメ映像を作ること。一人でいろいろやるのは大変ですが、自分に合っているのがこの手法なので続けられています。もともと会社員をしながら歌とアニメをつくる作家活動をしていて、その私のことを知ったプロデューサーが声をかけたのが始まりです。レギュラー番組になった年に会社員は辞めて「アーティスト」と名乗るようになりました。
番組内で紹介する美術作品は毎回プロデューサーと相談して決めます。教科書に載るくらいの、出会う確率の高い作品。それが選ぶときのなんとなくの基準です。そして日本の作品、日本以外の作品、彫刻などの立体作品、その3種類がまんべんなく揃うよう選んで作っていきます。現時点で126曲あり、それを歌うコンサートもしますが、曲が多くてほとんど歌詞が覚えられていません。
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source : 文藝春秋 2024年6月号
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