彫刻家の舟越桂さんが、2024年3月29日に亡くなった。突然の訃報だった。
数年前に病気になられたことは、彼からのメールで知っていた。幸い軽度で、すでに回復し、創作にかかっている様子も伝えてくださった。
折悪くコロナパンデミックの時期で、個展もあったのだが、それまで初日には必ず顔を見せておられたのに、やはり時期が時期だけに今回は遠慮されるとのお話だった。
そのパンデミックも終息し、次の個展の機会にはきっとお会いできるだろうと思っていた矢先に……急に病状が悪化されたとのことだった。
享年72歳は、芸術家としては若いだろう。ご両親の葬儀にも縁あって参列したが、彫刻家の父保武さんは89歳。詩人で、絵も描いておられた母道子さんは93歳で天に召された。
芸術にも人にも真摯で誠実で、ユーモア豊かな、優しいお人柄であり、まず人として尊敬できる方だった。もう会えないのだと思うと、日に日に寂しさがつのってくる。
拙著『永遠の仔』の装丁に作品を使わせていただいたのが最初の縁だった。舟越さんが生み出す新しい具象像のファンだったので、まさか拙著を飾っていただけるなんて、大げさでなく感激した。
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source : 文藝春秋 2024年7月号