「誰もが当たり前に家を持てる、そんな社会にしたい」。飯田グループホールディングス創業者・飯田一男氏が掲げた“志”を引き継ぎ、グループの一員として飛躍を続けるタクトホーム。そのめざす未来とは、どういうものなのか。小寺一裕社長に訊く。
より良いものを、より安く、より早く
初代タクトホームは、1982年創業、1984年設立のツーバイフォー工法を取り入れた注文住宅の会社でした。その後、飯田建設工業の子会社となり、1998年に現会長の山本重穂が社長に就任したのをきっかけに、建売住宅の事業に進出したんです。
わたしは2000年に飯田建設からタクトホームへ来ました。当時は社員の数も50人くらいで、売り上げ規模も30億円程度。町場の工務店みたいな会社でした。
でも、規模が小さいからこそ、社員全員の意思の疎通がうまくいったんです。この会社を大きくしていこう、業績を伸ばしていこうと、みんな一人三役くらい仕事をこなしました。営業でありながら、人手が足りないとなったら、現場に出向いて工事の手伝いをするとか、熱気がありましたね。
そして売り上げが50億になったとき、「上場を目指すぞ」という大号令が出たんです。そこからは倍々ゲームで業績を伸ばしていって、2003年ジャスダックに株式上場、さらに2007年には東京証券取引所第1部に上場できました。
ジャスダック上場のときは感動しましたね。ディーリングルームのタクトホームの電光掲示板に花が飾ってあるんですよ。上場のセレモニーで鐘を鳴らすんですけど、「俺は飯田産業で1回やっているから、お前、やっていいぞ」と山本社長から木槌を渡されたんです。でも、どうやっていいかわからない。半鐘みたいにカンカン、カンカン鳴らしたら、「あっ、そんなに鳴らさなくていいですよ」って言われました(笑)。
タクトホームの急成長を支えたものは、グループの行動指針「より良いものを、より安く、より早く」の実践です。これは「誰もが当たり前に家を持てる、そんな社会にしたい」という飯田グループの創業者、故・飯田一男の理念から生まれたものです。
国が定めた第三者機関が共通の基準で評価する「住宅性能表示制度」というものがあります。タクトホームではこれを積極的に取り入れ、「耐震等級」「耐風等級」「劣化対策等級」など7項目において、全棟最高等級を取得しています。
弊社で全棟に採用しているオリジナルのI.D.S工法は、在来工法の木造軸組と構造用合板パネル工法を組み合わせたもので、設計の自由度と耐震性を併せもつ、クオリティの高い物件をスピーディに、かつリーズナブルな価格で提供することができます。「安かろう、悪かろう」という時代はもはや過去のものなんです。
飯田グループホールディングスは日本で一番選ばれている分譲住宅メーカーです。タクトホームでも年間5000棟を販売しています。そこで蓄積されたノウハウを活かして、これから注文住宅事業に本格的に進出していく計画です。お客さまが何を望んでいるのか、どこが購入の決め手になったのか、これまでわたしたちが蓄積してきた知見が最大限活かせると思っています。いま大手の注文住宅メーカーさんも低コストの建売を手がけるようになってきました。タクトホームはその逆張りをしようというわけです。
弊社は経営方針として、「八方よし」という言葉を掲げています。建売事業には様々なステークホルダーがいます。事業を通じて関わる全ての方々を幸せにするためには、「三方よし」では収まらない。そこで社の総意として掲げたものが「八方よし」でした。
「買い手よし」、「売り手よし」はもちろん、事業を成功させるうえで大切な「働き手よし」。従業員は安心して働ける環境があって初めて、お客さまのことを考えられるようになるんです。そして「地域よし」。これからも地域と共に街づくりをしていくタクトホームでありたいと思っています。
提供:タクトホーム株式会社
https://www.tacthome.co.jp/
photograph: Keiji Ishikawa
hair&make: Kaori Ichikawa
design: Shinobu Takahashi
source : 文藝春秋 2024年9月号