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【イベントレポート】マネジメントの重大責務 戦略策定・実行/意思決定/人材育成/組織変革/事業拡大の神髄

■企画趣旨

2024年1月1日に発生した能登半島地震は経済活動に深刻な影響を及ぼしています。世界に目を向けると、IMFが1月30日に発表した「世界経済見通し」によれば、GDPは2023年と比べほぼ横ばいで推移すると予測、前回の発表時(2023年10月)から0.2%上方修正し、理由として米国や新興国を中心とした地域の経済の底堅さを挙げています。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻、ハマスとイスラエルの武力衝突といった地政学リスクによるエネルギー価格の高騰、サプライチェーンの断絶など懸念材料も少なくありません。

こうした不確実なビジネス環境の中、経営者はビジネスの大局を読み解きながら様々な経営課題解決に向け意思決定を迫られています。

本カンファレンスでは「マネジメントの重大責務」にフォーカスを当て、経営ビジョンと経営戦略の立案・実行、組織改革、リソースの最適化、意思決定、後継者育成、イノベーションの推進、企業価値向上など、経営の舵取り役としてのあるべき姿について、アカデミックの視点、経営者の視点、イノベーターの視点から考察した。

■基調講演

全社戦略
~ 経営者目線で会社を再点検するマネジメントの重大責務 ~

早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授
兼 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 所長
菅野 寛氏

東京工業大学工学部卒。同大学院修士課程修了。日建設計に勤務後、カーネギーメロン大学にて経営工学修士号を取得。その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)にて十数年間、日本およびグローバル企業に対してさまざまなコンサルティング・サービスを提供。BCGテクノロジー、メディアおよびテレコミュニケーション専門部会のアジア/パシフィック地区リーダーを経て2008年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。16年より現職。

企業の最大の責務は、「新しい価値の創造」である。ステップ1として、まず新しい価値を創造し顧客/従業員/株主/社会/地球にその価値を配分することだ。今までのやり方を踏襲していては新しい価値創造はできない。VUCAの時代、環境は変化する。変化を先読みし、次の打ち手を考えて実行する=変革をマネージする能力がリーダーには不可欠。変革をリードし新しい価値を創造するのがマネジメントの責務である。

経営者がROA/ROE/PBRなどの指標の値を大きくする努力を行うのはいい。ただし、新しい価値創造のためには分母のほうではなく、売上や利益を上げる、新しい事業を創造するなどして「分子」のほう=ReturnやPriceを拡大することを目指すべきだ。分母を小さくする施策ばかりやっていると縮小均衡になってしまう。もちろん、分母を小さくすることをやらなくていい、というわけではない。

新しい価値を創造するために、次の打ち手を「探索」することが大切。知の深化=Exploitationと知の探索=Explorationのうち、“楽”な深化ばかりをやって探索をおろそかにしてしまうマネージャーは多い。失敗しても良いので、新しいことに次々と挑戦したい。失敗を恐れて冒険しないのは最悪だ。探索と深化は相容れない、やるべきことが正反対のように見えるが、それをやるのがマネジメントの重要責務である。

例えば1802年に火薬製造を祖業として創業したデュポンは、繊維(ナイロン)、製薬、石油、高機能材料(自動車の塗料)などの基幹事業を次々と売却し、現在はアグリやヘルスケア事業に力点を置いている。たとえ売上の大きな事業でも、将来性に疑問符が付く場合や変革のためにはきっぱりと手を引き、新規事業を買収し投資している。アップルもじつは失敗の山だ。ニュートン、ピピン、iキューブ、iPodをビルトインした携帯電話……。新しい価値創造のための挑戦の成功確率は低い。しかし、数多の挑戦と失敗の先に今日のiPhoneの大成功がある。

ここまでのまとめは以下のスライド参照。

一部の経営者はなぜ「新しい価値の探索」をおろそかにするのだろうか?危機感が薄く、かつ、時代の変化=パラダイムシフトを認識していないからかもしれない。「環境は激変する。我が社のやり方は通用しなくなる」と思わないのだろう。昨今、「200-300年に一度のパラダイムシフトが起こりつつある」と主張する学者・識者が増えていることに留意したい。

18世紀後半の産業革命に伴い「資本主義」という新しいパラダイムが生まれた。企業も個人もどちらも利己的な利益追求をしているにもかかわらず、社会は最適点に収束する/個人の欲望(ニーズ)と企業の利益追求がイノベーションを起こし、社会を良くする/消費は良いこと(消費が増える⇒事業が成長⇒雇用創出⇒個人が豊かになる⇒さらに消費)——これが今までの資本主義パラダイムだ。企業は、大企業/株主価値の最大化/利益の追求/成長を目指す。個人は、労働⇒賃金向上⇒消費増大と私利の追求を指向する。

しかし、こうした従来のパラダイムがいつまで持つのか?資本主義の限界は見えており、AIやロボティクスにより働かなくてもよい社会となり、全員失業して貧乏になるかもしれない。新興国の1人あたり消費の爆発的増大と人口大国の台頭が起こり、地球全体では人口が減少し1人あたり消費が頭打ちになる可能性もある。

DX(Digital transformation)=デジタル革命により、ビジネス面では大規模集中⇒小規模分散/大企業⇒スモールorベンチャー・ビジネス/明確な管理による分業⇒オープン・コラボレーション/所有⇒シェア/私利⇒コミュニティの利益/金銭的Reward⇒非金銭的Reward/Producer vs. Consumer⇒Prosumer、といった流れができている。ブリタニカを始めとする百科事典がWIKIPEDIAに駆逐されてしまったように、利潤/集中・管理/貨幣/所有/生産・消費といったあらゆる面で資本主義の根本原則がことごとく成立していない例が激増している。UBERやairbnbは、シェア、余剰資源活用で後発小企業が先発大企業を倒せる象徴的な例だ。

じつは封建主義経済からの、産業革命による資本主義・自由主義経済への移行もパラダイムシフトであった。そして、現在、デジタル革命による新たなパラダイムシフトが起きている。先述の、デジタル革命のキーワード「小規模・分散型」「オープン・コラボレーション」「Prosumer(生産者=消費者)」「シェアリング・エコノミー」「コミュニティへの市民としての貢献による自己実現」を一般論だと聞き流すことなく、自分たちのビジネスはパラダイム変革により10年後どうなるのかを真剣に考えるべきだ。すると危機感も沸き起こり、「新しい価値の創造」への動機づけになるはずである。

■特別講演(1)

マクドナルドの経営戦略

日本マクドナルド株式会社
代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)
日色 保氏

1965年、愛知県出身。88年静岡大学人文学部卒業、同年ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル(現J&J)入社。2005年にJ&Jグループ会社オーソ・クリニカル・ダイアグノスティクス社社長などを経て12年にJ&J日本法人社長。18年事業会社である日本マクドナルド(株)入社、19年同社社長。21年3月から現職。(※講演当時)

◎マクドナルドの歩み

世界で約100以上の地域と国において約4万店舗(2022年12月末現在)を展開するマクドナルド。日本では1971年7月20日に銀座に1号店が開店。23年12月末時点で2982店舗を擁し、年間で顧客は延べ14億人、延べ約20万人のクルー(従業員)が働く。

この50年間、歴史面でも業績面でもさまざまなことがあった。創業から約10年は新しい食文化の創造と拡大/人材投資・アルバイトの活用/ドライブスルーやPOSシステムの導入などにさきがけた。80年代はブレックファーストやセットメニューを導入し、外食産業で売上首位に立った。

90年代はサテライト戦略(小規模拠点大量出店)やディスカウント戦略を推進。価格競争に対応するため平日半額でハンバーガーを65円で販売したこともあった。2000年代はBSE発生で苦しみ、作り置きから、できたてのバーガーを提供するMade for youを導入するなどした。2010年代は中国産チキン報道・異物混入問題が起き、業績の低迷を受けてのビジネスリカバリープランを実行した。外食産業の原点であるQSC(Quality/Service/Cleanliness)に立ち返って、2016年から業績は回復の途についた。

◎マクドナルドの現在

2019年からCEOを務めている私のミッションは、ブランドの刷新/店舗・デジタル投資/チャネルの多様化である。2023年の売上高は2018年比で45%ほど伸び(7777億円)、営業利益は過去最高の408億円となった。

価値=店舗体験÷価格。価格を上げるなら、顧客の店舗体験をさらに向上させないと価値は上がらない。注力した点は、(1)ブランドイメージの向上 (2)チャネルの多様化 (3)店舗への投資 (4)人への投資、の4つ。(1)については、“LIKE”から“LOVE”へを合言葉に、広告戦略や価値訴求手法を見直した。AR(拡張現実)やSNSなど、デジタルを活用した顧客とのエンゲージメント強化も行い、子供向けのハッピーセットなどに付属するおもちゃや本も環境問題を意識しつつ改良している。

(2)のチャネルは、2019年から強化を始めていたデリバリーやモバイルオーダー利用がコロナ禍もあって急激に伸び、今、最もデリバリーで利用される外食ブランドとなっている。チャネルの多様化やデジタルへの投資が奏功し、企業のデジタルメディアの「ブランド価値貢献度ランキング」では第1位を獲得している。

(3)の継続的な店舗投資。新規出店/リビルド/リロケート/リイメージにより、多様なチャネル経由で来店する顧客を迎えられる店舗や、モダンで過ごしやすい店舗内装にすべく投資を継続している。より生産性の高い機器を導入し、ドライブスルーを2レーンにするなどの改良も行っている。

(4)の人への投資。年齢、属性、国籍……働くクルーはダイバーシティに溢れている。クルー体験会や約20万人の全店舗のクルーを対象とした技能コンテスト、人材教育施設「ハンバーガー大学」などにより、マクドナルドで働くことによって自身の成長を実感できるようにしている。

■プロフェッショナル講演(2)

事業成長に必要な経営の着眼点
~ 「存続から成長」の新たなステージへ ~

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
上席執行役員
土屋 淳氏

大手ハウスメーカー入社後、経営者や資産家等に対し、相続対策や資産運用のための戸建・集合住宅の販売・提案営業に従事した。当社に入社後、2008年からは主に調剤薬局業界のM&Aに従事し、専門部署を立上げ、社内最大のチームを率いて業界トップクラスの実績を残す。22年10月より上席執行役員に就任。

当社は「正しいM&A」を目指し、創業から顧客の信頼を得て、CMなどによる認知度を背景にM&A仲介業界における国内最高レベルのブランドを確立することができた。成約案件の譲渡価格/譲渡企業の売上高総額/譲渡企業の従業員総数などがM&A仲介業界No.1であるという調査結果がある。訴訟に至った案件はほぼなく、士業資格保持の社員も15%台。M&A仲介実績は累計約1300件だ。

◎最新の事業承継・M&A傾向

2023年の日本企業のM&A件数は4015件、過去最高の前年比で6.7%減だが、24年第一四半期まで含め高水準で推移していることに変わりはない。業界の変化や後継者問題で譲渡企業は増加しており、その一方新規・周辺企業規模追求の引合いが増え、成長のために時間を買う買い手企業も増加している。

中小企業庁の資料には「約127万人の後継者不在問題」「年間で約6万社へ支援が必要」という旨の記述がある。生産年齢人口が大幅に減少する日本において、中小企業の次世代への事業承継と新たな成長機会の創出が当社の果たすべき社会的使命、と認識している。

事業承継には、(1)後継者への承継 (2)株式公開 (3)M&A(第三者への承継)の3つの選択肢がある(廃業・精算は避けたい)。それぞれにメリット、留意点はいろいろあるが、M&Aは従業員の雇用と取引先との関係が維持され経営者の個人保証も解除されるため、創業利益の最大化が図られる最適な手段だと考える。

◎友好的M&Aを活用した事業承継事例

次世代に会社を引き継いでいくために最適な相手に引き渡す事業承継M&Aと、事業の成長を目指し買い手企業のグループに入り、買い手企業の資源を活かしたM&A。2つの事例を紹介する。前者はヘルスケア、後者は不動産。前提として、両方とも順調な経営/後継者候補の子息がいた/オーナーの属人的な経営/約10年のお付き合いの中での決断、という共通項があった。

ヘルスケア会社を経営する70歳の女性経営者は、地域密着型事業の永続性と雇用の安定を熟慮しM&Aに踏み切った。過去最高業績で経営は順調だったが、調剤報酬に依存する経営や、調剤とセルフメディケーションによる健康管理の両方を担う新業態への自社だけでの転換には限界を感じていた。

ドミナント戦略の推進や調剤事業の拡大と加速に好適な案件だったため、多様な業種や会社が譲り受けに興味を示した。最終的に、地域住民の予防・未病・病気に対して一気通貫でトータルヘルスケアサービス提供を実現させるというビジョンを持つ、医療分野にも理解のある経営者のいるドラッグストアグループへのポジティブなM&Aが実現した。

エリアNo.1の住宅不動産会社の68歳の男性経営者は、グループ内経営陣への承継を決めた。譲り受け企業に選ばれたのは投資ファンド。事業会社がM&Aをする場合は自分のブランドを前面に出し、相乗効果を求めて合併などもよく行われる。しかし、ファンドを活用したM&Aの場合、主役はあくまで企業であり、その企業も経営者も残り、ファンドはヒト・モノ・カネで全面バックアップする。経営理念の実現と従業員の幸せのために、M&Aをポジティブに決断した。

◎多くの経営者にM&Aという選択肢を

事業成長に必要な経営の着眼ポイントは、(1)従業員を守り続けられるか (2)会社の未来にとって何がベストか (3)業績や業界環境タイミング (4)オーナーの人生設計、の4点。納得できる相手と納得できる条件が揃わないとM&Aは成立しない。M&Aはあくまで選択肢の一つだ。

M&Aの流れは以下のスライド参照。

成立までには検討・準備⇒打診・交渉⇒最終契約という各フェーズがある。長い時間がかかる場合も多い。“関係者全員幸せ”になるのが「友好的M&A」の意義。当社の場合、基本合意の締結までは一切の手数料は発生せず、企業評価や相手先候補リストなどは無料で提示する。経営の選択肢の一つとして検討いただければ幸いだ。当社は「お客さまの決心に、真心でこたえる。

■特別講演(1)

監督の重大責務
~ 知ることが武器になる-勝ちにこだわるチームづくりと人材育成 ~

元ソフトバンクホークス監督
工藤 公康氏

スポーツジャーナリスト
生島 淳氏

工藤公康氏と生島 淳氏が「監督の重大責務」について対談形式で語り合った。以下は工藤氏の発言の抄録。

「最近は時間を見つけては農業をしている。食は大切であり現役時代から気をつけてきたし、農業は将来の担い手が少ないので微力ながら力になりたい。手間暇をかけて、周囲の環境も整えていけば作物はよく育ち成果が出る。選手・人材育成とも共通する面白さ、やりがいがある」

「プロ野球の世界でも長期的視点に立ってチームや選手を育成する球団・監督が増えてきていると感じる。2軍以下にも目配りする監督はいまや珍しくない。戦い方でも、我慢するところと勝負を懸けるところのメリハリがある監督が多い。成績を残してきた選手をいち早く1軍で使い、モチベーションを高めることは今の時代、大切だ。私は、選手の未来をどう作るかが監督の仕事だと考える。人を作る、人材を作ることを最初にやらないとチームは強くならない」

一般の方が外から見えている監督の仕事は全体の2割くらいだろう。例えば、打順は試合前にあらゆる要素を考慮して、私の場合は4案考える。そのうえで、コーチが考えてきた打順とすり合わせ、最終的な打順を決める。それくらい多種多様な仕事をしている。とはいえ就任一年目は前年に優勝していたこともあり、あまり大きくは選手起用や戦い方を変えなかった。二年目以降は育成の若い投手などが伸び、そこから数年は野手も含めいい状態が続いた。厳しい練習をこなせばチャンスがある、と若手に声掛けをしたところ多くの選手が努力して伸びた」

監督には説明責任が常につきまとう。例えば、レギュラーシーズンとポストシーズンの戦い方を変えることを構想しているときは、レギュラーシーズンの途中からそのような流れを作って、言葉でも説明していく。選手の頭に“?”があると実力の半分くらいしか出ない。監督として5回優勝はできたが、結局、選手が納得して力を発揮してくれないと結果は出ない

「自分は西武時代の広岡達朗監督の影響が大きい。プロとしての身体作りがまず大切で、練習を耐え抜いて強い身体ができると一軍で活躍できる水準の技術やメンタルが身についてくることを学んだ。ただし、今の選手達は『まず聞いてあげる』ことが大事。どうしたいのか、どうなりたいのか傾聴し、自分の知識や知見を授ける。そして選手の状態や成績がいい方向、正解の方向に動くと選手の頭の中にあった “?”が消えて、納得して積極的に動いてくれる

メンタルが強い選手=試合で頼りになる選手、というわけではない。今の選手はフォローしてあげなければならない部分が非常に多い。調子が悪かったら、信頼・信用を表す言葉をきちんとかけてあげることが必要だ。そして、試合よりもむしろシートノックなどの練習を気を抜かずきちんとこなす選手を信頼する。個人の部分は自分のペースでいいが、皆でやること、やるべきことはきちんとやってもらいたい」

「選手については、試合中はもちろんトレーニング、ランニングなどあらゆる場面を見て、臨機応変に声がけをしている。例えば敗戦投手には、翌日以降に前日のデータを示しつつアドバイスをして負けを引きずらないよう、コンディションを上げるように目線を変えさせる。すべてを自分で直接選手に伝えるのではもちろんなく、コーチやトレーナーを通して伝えることも多い。ただし、コーチやトレーナーに、各人が見てアドバイスすべき練習風景、例えば選手がランニングしている時に見るべき視点・角度などの細かい指示までも行っている」

監督はあらゆることを想定しておかなければならない。例えば選手の怪我や投手のローテーションもそう。怪我してから、ローテーションが崩れてからから考えるのではなく、バックアップやリザーブを常に用意し不測の事態に備えておく。組織全体を見通して、1軍と2軍、3軍の指導方法も統一した。例えば2軍で打撃の好成績を残して1軍に上がってきた選手が、1軍のコーチにそれまでとは異なるバッティングの指導を受ければ、戸惑って調子を落としてしまう」

門限は廃止した。マッサージやシャワーのタイミングは人それぞれ。いかにリラックスするか、コンディションを整え試合に集中するかが最優先だ。余計なところで選手に気を遣わせないようにした。若いZ世代の選手については、知識先行、頭でっかちになる傾向があるので、彼ら以上の知識を身につけるようにしている。最新の理論を自分で勉強し、最新の施設や現場を米国含め訪れ、大リーグの複数の監督にも会い、その上で選手にアドバイスをすると素直に耳を傾けてくれる。やるべきことはやって、それで足りなければさらに勉強すればいい

一番大切なのは“情熱”だと思う。自分がどうしたいのか、何がやりたいのか、情熱を素直にぶつけていけば、一時的には引く人もいるかもしれないが、気持ちは通じるはずだ。そしてその目標に向けて頑張っている姿を見せれば、共感して手伝ってくれたり一緒にやってくれる人は増える。ぜひ“熱”と愛情を持って部下や選手に接してほしい」

2024年5月15日(水) 会場対面とオンラインLIVE配信のハイブリッド開催

source : 文藝春秋 メディア事業局