《スペシャル特集》10人が太鼓判。ジャンル別ガイド
曲者(くせもの)俳優は、あまねく存在する。
スターであれ、脇役であれ、面白い俳優はほぼかならず曲者の側面を備えている。確率はけっこう高い。
クリント・イーストウッド、ロバート・デ・ニーロ、トム・クルーズ……「現代のスター」は身体の奥に奇怪な骨を備えていることが多い。ファニー・ボーンズ(笑いの骨)やミーン・ボーンズ(性悪の骨)と呼ばれる秘密兵器だ。
この骨が芝居に関与すると、一気に味わいが増す。おかしさやメランコリーが深まり、コクが醸し出され、余韻が長くなる。善悪の境目にある灰色の部分が広がり、悲哀と滑稽が混じり、均斉と畸形が融合する。
見ていると、役者とは因果な動物だ、という感慨が湧く。いや、因果な動物だからこそ役者になったのだろう。そのなかで、スターになる人がいる。スターにならない人もいる。外見の問題はあるだろうし、時の運という厄介な要素も絡んでくる。
ただ、スターになることを最初から念頭に置かない役者もいる。彼らは、話の中心にわが身を置こうとしない。むしろ、話の周辺で妖しい光を放とうとする。毒を吐き、笑いを招き、場面をさらう。粗筋やテーマは忘れても、脇役の顔やその芝居を憶えている映画は少なくない。
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source : 文藝春秋 2024年12月号