「クイズダービー」で珍解答を連発し、人気を博した学習院大学名誉教授の篠沢秀夫(1933〜2017)。妻の礼子さんが“ゆかい教授”との日々を振り返る。
「教育ママにならないと約束して」
昭和40(1965)年に結婚した時、主人にそう言われたのを今も覚えています。主人にとっての“勉強”とは、探究し見識を深めること。受験勉強のようにひたすら暗記し、テクニックを身につけることは好まなかった。だから、子供の受験勉強に熱を上げる母親にはならないでほしいと思っていたようです。
3人の子供たちへの教育も独特でしたね。よく「家の屋根にガストン、ヤコブ、オーロラという妖精がいて、悪いことをすると、妖精と入れ替わっちゃうんだよ」と言いきかせ、𠮟る時も怒鳴ったりすることはありませんでした。
私たちが知り合ったのは学習院大学。主人も私も文学部仏文科出身で、当時、主人は非常勤講師、私は研究室で事務の仕事をしていました。主人は、その頃からニコニコしていて気どらない人。流行りだった西麻布のイタリアン「キャンティ」でデートしたこともあったけれど、「お金がないから今日はラーメンにしよう」という日も。
明治大学でも教鞭をとっていましたが、昭和48(1973)年に学習院大学文学部仏文学科の教授に。乗馬を始めて大学の馬術部にも顔を出しました。この時、部長を務めていたのが、紀子さまのお父様の川嶋辰彦先生です。秋篠宮殿下もご一緒することがあり、美智子さま(上皇后陛下)が観戦されていたこともありました。秋篠宮殿下と紀子さまのご成婚の際、「馬術部関係で両陛下と川嶋教授は以前からの知り合い」と主人がテレビでコメントしていたのは、この時の経験からです。
初めて「クイズダービー」に出たのは昭和52(1977)年のはじめ。実は、最初はレギュラー解答者ではなく、“賭ける側”として教え子と二人一組でのゲスト出演だったんです。レギュラー解答者のオファーが来たのはその年の夏。主人が教え子に自由に賭けさせて終始ニコニコしていたのが面白いと思われたようです。
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