トランプ2.0はノーベル賞を狙う

新浪 剛史 サントリーホールディングス社長
冨田 浩司 前駐米大使
峯村健司 ジャーナリスト
社会 政治 国際

人事の基準は忠誠心、政策の目的はリベンジ

 冨田 今回の大統領選挙で、ドナルド・トランプがあらゆる地域やブロックで支持を伸ばしましたが、これは全国的に「反・現職」の風が吹いたことを意味します。イギリスに「政権交代は、野党が勝つのではなく、与党が負けることで起こる」という格言がありますが、まさにそれ。ですから「なぜトランプが勝ったのか」より「民主党が負けた理由」をまず考えるべきでしょう。

 峯村 今年になって、全国の政党支持率で民主党が共和党に逆転されるという衝撃的なことが起きました。これは、この数十年間で初めてのこと。それだけ民主党離れが進んでいる。

 新浪 大統領選に加えて上下院議会とも共和党が勝利する「レッド・スウィープ」となったのは、民主党への怒りの表れでしょう。特に中間層の下よりの人々が困窮して、現政権に不満を高めていました。

 冨田 民主党の敗因はいくつかありますが、まず政策の失敗が挙げられます。とくにコロナ対策で給付金をバラまいた結果、インフレを招いてしまったことは大きいですね。

 峯村 経済の失策は、選挙結果に大きく影響したと思います。インフレ率は一時9.1%にまで上昇。有権者の話を聞くと、「トランプの時は、まだ経済がよかった」と。これが米国民の肌感覚ですね。

トランプ次期大統領 Ⓒ時事通信社

 新浪 バイデン政権ではウクライナ情勢や中東の紛争で、インフレがさらに悪化しました。サプライチェーンに支障が出て、資源、食料などを中心に、価格が高騰してしまいました。

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source : 文藝春秋 2025年1月号

genre : 社会 政治 国際