他の世代に比べると情報が入りにくい、あるいは色々な商品やサービスをあまり求めなくなる――「高齢者」にそんなイメージを持たれる方がいると思います。ところが私たちが読者の方にお会いすると、70代後半の方でもお元気で驚きます。非常に活動的で行動的なのです。
「ハルメク」はこういった方々をアクティブシニアと位置付け、健康寿命を延ばし、生活の質(QOL)を上げて楽しく暮らすためのお手伝いをする定期購読型の月刊誌です。50代以上の女性を対象に、65歳くらいから80代をコアの読者にしています。60代になると、配偶者やご本人が退職を迎えたり年金受給が始まり、生活や人付き合いに変化が訪れます。この世代ならではのそういう悩みや願望にぴったりと寄り添った情報をお届けすることで、発行部数は2017年の15万部から、現在は48万部となりました。

読者の関心を知るために、私たちは3つのことからヒントを掴み取っています。
1つめは誌面に綴じた読者ハガキです。面白かった記事やつまらなかった記事、自由に書き込めるコメント欄を設けたこのハガキは、月2000通ほど編集部に届きます。すべて目を通し、重要な意見はすぐに共有する。そして特にコメントの多い500通ほどは毎月データベース化をして、いつでも読者の考えを誌面作りに活かせるようにしています。
2つめは社内シンクタンク「生きかた上手研究所」が行う読者満足度調査です。毎号、雑誌を読み終わったころを見計らってアンケートを送付し、年間約3000人の読後の満足度や閲読率を調べます。この結果は次の雑誌作りはもちろん、広告制作や商品開発にも活かされています。
3つめは受容度調査です。雑誌の企画を立てる際、興味を持って受け容れてもらえるかを編集部とマーケティング課で調べます。雑誌を読む習慣はあってもハルメクを読んだことのない方を対象に、バイアスのかからない意見を集めます。
たとえば「認知症予防」を次の特集企画として検討中だとします。イメージとしては高年齢の方の関心を集めそうに思いますよね。ところがある年の調査では最も反応が良かったのは50代でした。恐らくご両親が認知症や要介護状態になるのを目の当たりにして、自分の将来についての不安を抱え始める世代なのではないかと思います。一方で70代、80代は、同世代の身近な方に症状が出始めることもあって、ある程度耐性ができてくる。知りたい情報も夫に症状が出たら何をすべきか、薬でどこまで抑えられるか、などに変わっていくようです。
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