本誌3月号「大腿骨骨折 転ばぬ先の傾向と対策」の発端は、医療ジャーナリストの内田朋子さんとの雑談でした。
「高齢者にとって、転倒は命のリスクにつながるんです。しかも、床に置きっぱなしにしているビニール袋を踏んで滑って転倒、というケースが少なくないとか――」
聞けば、高齢者のけがのなかでもとりわけ多いのが「大腿骨骨折」であり、日本国内では年間約15万件にも及ぶといいます。一説には、大腿骨を骨折した人のうち半分が5年以内に死亡するという恐ろしいデータも……。

昨年10月には、90歳のお誕生日を目前に控えた上皇后美智子さまが仙洞御所で転倒し、右側の大腿骨上部を骨折。東大病院に入院され、手術を受けたことが報じられました。その後は順調に回復され、翌月には杖をつきながらご自身の足で歩かれる姿が見られました。では、美智子さまのような経過をたどるにはどうすればいいのか?
そんな疑問を解消すべく「では、美智子さまが入院された東大病院の先生に聞いてみよう!」というシンプルな発想から、東京大学医学部附属病院骨粗鬆症センター長の齋藤琢先生のもとを訪れたのでした。
取材当日、東京大学の銀杏は綺麗に紅葉していて、撮影する多くの人でにぎわっていました。その並木道を通り抜け、たどり着いた東大病院はモダンで真っ白な建物です。ちょっと緊張してうかがったところ、齋藤先生は柔和な笑顔で取材班を迎えてくれました。

いざインタビューが始まると、齋藤先生自ら用意されたスライドを示しながら、大腿骨の構造から骨折の治療法までを徹底的にレクチャーしてくださいます。「手術の難易度がそれほど高くないので、若手医師は大腿骨骨折の治療で腕を磨いていく」「手術は48時間以内に受けるのが理想的」「どんなにつらくても、リハビリは手術翌日から」など目からうろこの連続で、ノートを取る手が止まりません。
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