プロ野球にとって死活問題 “投高打低現象”の改善を

“飛ばないボール”でホームランが消えている!?

鷲田 康 ジャーナリスト
エンタメ スポーツ

 2024年はロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が「50本塁打、50盗塁」を達成。最終的な本塁打数を54本まで伸ばして日本中の話題を攫(さら)った一年だった。そんな大谷の活躍は、あらためて本塁打が“野球の華”であることを示す結果となっている。ところがその“野球の華”が大幅な減少傾向にあるのが、日本のプロ野球なのだ。

 2年前の’22年にはヤクルト・村上宗隆内野手が王貞治(現ソフトバンク球団会長)の持つ日本記録を更新するシーズン56本塁打を放って、史上8人目(12度目)の三冠王に輝いた。しかし実はそれ以前からじわじわとNPB(日本野球機構)の本塁打数は減少し、’19年の1688本をピークに’23年は1250本まで落ち込んでいた。そして’24年のセ、パ両リーグの総本塁打数は975本と、ついに1000本の大台を割ってしまったのだ。

 個人タイトルもセ・リーグは村上、パ・リーグはソフトバンクの山川穂高内野手が本塁打王に輝いたが、本塁打数はそれぞれ33本と34本と40本に届かなかった。両リーグの3割打者も’23年に史上最少の5人となったことが話題になったが、’24年はさらに2人減の3人だった。一方で投手の記録を見ると、セ・リーグには防御率1点台の投手が5人(パ・リーグは1人)も出現している。この極端な“投高打低現象”が進む中で、巻き起こったのが“飛ばないボール”論争だった。

ソフトバンクの山川穂高内野手 ©文藝春秋

「打球速度と飛距離がちょっと比例していないところがある」

 開幕直後の村上のこの発言で“飛ばないボール”論争に火がついたが、選手間ではずっとくすぶっていた問題だった。

 NPBでは’11年から’12年にかけて規定の反発係数に満たない違反球の使用が発覚し、大問題となった。以降はサイズ、反発係数など厳密な検査体制でボール規格を管理しているので、反発係数が規定を満たさないボールが、メーカーのミズノ社から12球団に配給されている可能性は考えづらい。ただある選手は反発力ではなく、ボールの空気抵抗の変化をこう語る。

「今年は最初からボールの表面が毛羽立っている感じがする。そのせいで飛ばないのではないかという声があります」

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source : ノンフィクション出版 2025年の論点

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