柔道がJUDOに勝つためのヒントは五輪金メダリストの戦いにあり

日本のお家芸はどうなる?

竹園 隆浩 スポーツライター
エンタメ スポーツ

 様々なドラマを生んだパリオリンピックで、日本柔道は個人戦14階級中、参加国最多の金メダル3個。メダル総数8個は2021年東京の金メダル9個、総数12個には劣るものの、数字上はお家芸の面目を死守した格好だ。

 だが、終盤の重量級では連日メダルを逃したほか、男女混合団体戦も2大会連続決勝でフランスに敗れた。柔道は「JUDO」に後塵を拝した印象が強かった。

 象徴的なのが、微妙な判定で敗れた男子60㌔級銅メダルの永山竜樹だろう。競技初日の準々決勝で23年の世界王者フランシス・ガリゴス(スペイン)と対戦。袖車絞めに入られたが、動きが止まったとみた主審は「待て」をかけた。

 ところが、ガリゴスは手を離さない。主審が再度、近寄って2度、3度「待て」を掛けたところでようやく離れたが、この時に永山が落ちてしまった。判定は一本負けに修正され、試合が終わった。

 永山は「『待て』が聞こえたので力を抜いた」と、試合が止まった時点では落ちていなかったと主張。握手を拒否し、なかなか試合場からも降りなかった。「歓声で『待て』は聞こえなかった」というガリゴスが、審判を無視して意図的に技を続けたと裁定されれば、反則負けになるからだ。日本選手団も抗議したが、判定は覆らなかった。

 現在の国際ルールは一審制で畳の上には主審1人しかいない。SNSでは「誤審」の表現があふれた。しかし、実際には主審は、複数で映像をチェックしているレフリーコミッショナーらの判断を無線で聞き、それに従っている。

 大相撲では「確認」として物言いのビデオチェックがあるが、柔道は「出来るだけ試合の流れを止めない」として、5秒遅れの映像を常に見ている。そこで主審の判断がおかしいと思えば訂正するし、再度、映像確認が必要なら主審にビデオチェックのポーズを取らせる。永山の試合は再確認までは行われず、5秒遅れのビデオで主審の判断が支持された。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : ノンフィクション出版 2025年の論点

genre : エンタメ スポーツ