著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、赤川次郎さん(作家)です。
小学3、4年生のころだったと思う。当時東映の教育映画部長だった父について、日光へロケを見に行った。古い木造校舎と校庭での撮影を眺めていると、カメラマンから、
「坊ちゃん、ちょっと出てみませんか?」
と声をかけられ、私はびっくりして逃げ出してしまった。
私と、父、赤川孝一との直接の思い出は、これだけである。
戦争中、満州映画協会で甘粕正彦理事長の側近だった(その死にも立ち合った)父は、引き揚げ後、東映に入り、NHKの朝ドラ「なつぞら」に描かれた「東映動画」の立ち上げ、日本最初の長編カラーアニメ「白蛇伝」製作に係る(タイトルに企画・赤川孝一の名がある)。
そういう父の経歴は、すべて人から聞いたものだ。アニメに関しては、後にTV美術の世界で活躍する橋本潔さんの著書「テレビ美術――セットデザインと映像の可能性を索めて」で初めて知った。
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source : 文藝春秋 2019年11月号