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塾の授業料、年間126万円は妥当か

『二月の勝者-絶対合格の教室-』より (c)高瀬志帆/小学館 ビッグコミックスピリッツ連載中

おおた 最後に印象に残ったコマはこれです。「桜花ゼミナール」で必修の授業を受けると六年生の1年間で126万円、という生々しい金額が出てくるんですけれども、高瀬さんはこれは妥当だと思いますか?

高瀬 この金額が妥当だと言える理由と、妥当ではないと思う理由が1つずつあります。妥当だと思う理由は、学習塾はこの金額以上のことをしていると思います。子どもから質問があったら対応したり、メンタルケアもしたり……授業時間と労力を考えれば、これぐらいの金額はかかるよね、と。

 妥当ではないと思うのは、東京都の世帯年収が平均610万円なんですけど、2人中学受験させると破綻する。800万あっても、車を持たないとか、海外旅行をやめるということをしないと2人中学受験させるのは無理。世帯年収1000万以上で、やっと赤字がなくなるかな、という感じなんです。

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おおた しかも、それだけで済む家庭って少ないですもんね。個別指導や家庭教師を併用したり、日曜だけ別の塾の志望校対策に通ったり……。

高瀬 そうなんですよ。だから、年間126万は中学受験塾の価格帯では必要最低限レベル。かといって、塾なしの受験が可能かと言うと、なかなか難しいので。そういった意味では、高い金額です。

おおた 中学受験では、4年生から6年生までの3年間で250万円かかると言われていて、特に最後の1年に出費がかさむので、毎月の月収の中ではどうしても無理がある。前提としてこれだけかかると知っておいて、積み立てておくしかないですね。

 でもね。250万円かけて、「みんなからスゴいと言われるようなブランド校に入れるなら意味あるけど、そうじゃなかったら意味がない」みたいな考え方は違うと思うんですよ。

中学受験における「成功」とはなにか?

高瀬 これはマンガで伝えたいと思っていることでもあるんですが、中学受験という選択肢がどんどん身近になっていく中で、みんながみんな第一志望に受かることは、正直難しい。

 本人が行きたいと思った学校におさまることが中学受験における「成功」なのではないかと思っています。第2志望、第3志望とか関係なく。いい学校はたくさんあるので。

おおた 本当にそうですね。何が何でもブランド校に押し込もうとすることより、子どもの努力を認めてあげて、どんな結果でも前向きに受け入れてあげて、最終的に中学受験を子どもにとっての成功体験としてしめくくってあげるのが親の責任だと思います。高瀬さんのマンガのタイトルは『二月の勝者』ですが、今後『二月の“笑者”』が増えていくといいですよね。

中学受験「必笑法」 (中公新書ラクレ)

おおた としまさ

中央公論新社

2018年12月7日 発売